松尾スズキの、のっぴきならない日常
/ 2021年10月22日発行 /Vol.488(2/2)
「人生に座右の銘はいらない」
読者からの相談や質問に松尾スズキが独自の視点でお答えします!
Q.先日のメルマガで、「後輩に道をゆずることも考えないと」と書かれていましたが、あれって、コクーンの芸術監督のお話でしょうか? それてとも、イチ演劇人としてのお話でしょうか? もし後者なら、松尾さんの引退なんて、考えただけで死ぬほど寂しいのですが……。(50歳、女性)
A.やめるってことでは、ないです。チャンスの場を作ってあげられたらなあと思っているのです。どういう形かは、わからないです。日本の演劇が、おのれのたたずまいの地味さにしがみついていたいのであれば私の出番はないし、かといって2・5次元とかまったく興味ないし。しばらくコクーンも、なくなるし、先がどうなるのか、ぜんぜん読めないというのが正直な話です。
Q.松尾さんは、世の中の真理を描き続けておられますが、そんな松尾さんから見て、いまの世の中が少しでもよくなる方法は、なにがあるのでしょうか? 個人的には、最近の日本には倫理感も道徳観も感じられず、みんな好き勝手しすぎで、どんどん悪いほうに向かっている気がします。(30歳、女性、会社員)
A.私は、どちらかというと堅苦しい倫理や道徳から解放されたいと思って作品作りをやってきたわけですが……。たしかに政治家とか、そういった人たちには大いに倫理にもとづいて動いてほしいなと思います。政治にうとい自分ですが、自民一強、というのが「アベノマスク」をばらまいて、「お役に立ったと思います!」なんて半ギレされたり、国民の半数以上が「オリンピックはいらない」と言うておるのに、そこにまったく触れずに「若い頃、オリンピックに励まされた」なんていう、はるか昔のオリンピックの話で押し通し、そのわりには自分はなにをやった、あれをやったと自慢ばかりしてるじゃないの、というモヤモヤを巻き起こしておると思うのです。政治家のふるまいが、国民のふるまいの基準となるのが理想ですが、ああも、あからさまに不真面目にやられると、こちらが不真面目をやりにくいのです。岸田さんも総裁になった途端、うっすら悪い顔になってきたなと思っております。あの椅子が、そうさせるのでしょうか。
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