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【Vol.401】冷泉彰彦のプリンストン通信『総選挙、3つの疑問点を解く』

冷泉彰彦のプリンストン通信
「金融立国のできない理由」  自民党の甘利明幹事長と東京都の小池百合子知事は、25日に日経新聞が 開催した「国際金融ハブに向けた日本の可能性」というイベントで「ビデオ 出演」の形式で講演したそうです。  まず甘利氏は国際的に金融資産を扱う企業のアジアの拠点を日本に誘致す る「国際金融ハブ構想」について「なれる要素は十二分にある」と意欲を示 したそうです。これは大変に重要な政策であり、大卒50%という超高度教 育国家でありながら、観光立国などという絶望的な現状を打破するためにも 必要な政策です。  問題は甘利氏が「障害となっている部分を全部解決してセンターとして引 力を高めたい」と発言したそうですが、その「障害」です。  甘利氏は、さすが党の税調のボスだけあって、21年度の税制改正大綱を まとめた際、日本を拠点に「運用会社や海外の金融人材が活動しやすくなる よう」税制を改正したと説明し「今まで指摘されていた税制上の問題点はク リアになった」と述べたそうです。  また「金融人材やその家族が利用しやすいよう所管施設や教育や医療機関 の英語対応の強化も進めている」という安倍政権時代に言われていた「馬鹿 馬鹿しい寝言」も繰り返していました。  まず税制ですが、「一定の条件下で業績連動給与の損金算入を認める」と いうのですが、当たり前すぎて腹が立ちます。そんなことが法人税での優遇 だなどというのは、チャンチャラおかしいとしか言えません。  問題は、以前から言われている「金融人材やその家族が利用しやすいよう 所管施設や教育や医療機関の英語対応の強化」という話です。海外からの優 秀な人材が日本で活躍できるように、オフィス、住居、買い物などの英語対 応、そして教育や医療の英語対応などというのは当たり前の話でやればいい だけですが、それだけではダメです。  まず、この話は、海外から人材に来てもらうという話です。つまり金融立 国になって、日本人の給料が上がるという話は「ゼロ」だということです。 そうではなくて、日本人が国際金融に関与できるように教育を変え、人事制 度を変えなくてはダメなのです。  もう1つはもっと根本的な点が抜け落ちているという点です。(続く)

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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