伏木悦郎のメルマガ『クルマの心』第451号2021.10.26配信

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 　　　　　　　　　伏木悦郎のメルマガ『クルマの心』 　　　　　　　　　　　　　第451号2021.10.26配信分 ●17年間にわたって4万3708kmを歩いた 皆さんは自動車旅行を楽しんだことがあるだろうか？日本には大小6852の島 があって、北海道・本州・四国・九州という４つの”本土”だけでも北から南 まで走り尽くすのは容易なことではない。 　私は東京を起点に東西南北あちこち走り回った方だが、37万平方キロメート ルすべてを網羅したとは到底思えない。すでに老境に入り、余生がどれだけ残 されているかは分からないが、伊能忠敬は隠居後に蝦夷地を除く『日本』の海 岸線を巡り西洋人が驚いたという精密な日本地図を書き上げた。徒歩による 『歩測』を基本とし、様々な測量機器と算盤(そろばん)を用いた和算を駆使し て得たデータを元にした地図は、現代でも立派に通用する精度に仕上がってい たと聞く。 17年間にわたって4万3708kmを歩いたという活力には驚く他ないが、伊能本 人としては"好きなこと"に没頭しているだけでさほど痛痒を感じることはなか った。でなければ続けられるはずもない。最初に測量の旅に出たのが55歳の時。 江戸時代末期の1800年頃とはいえ、当時の尺度で50半ばは十分な老人であり、 73歳で没するまで没頭する対象を持ったことの幸せを思わずにはいられない。 これまでこのメルマガ『クルマの心』であれこれ書き連ねてきたが、それら はいずれも未来を見据えた上での過去の振り返りだった。当然のことながら過