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高野孟のTHE JOURNAL Vol.522 2021.11.2
※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《INSIDER No.1123》
何だかよく分からない総選挙の結果ーー自民は議席減で
も苦い勝利/維新はハッピー大躍進/立憲は重い敗北
【2】《CONFAB No.522》
閑中忙話(10月24日~30日)
【3】《CLIPBOARD No.004》
大丈夫か海上保安庁/入試で「片手懸垂」を廃止?!
【4】《FLASH No.435》
静岡県の参院補選での自民敗北が衆院選に与えるインパ
クト/日刊ゲンダイ10月28日付「永田町の裏を読む」か
ら転載
【5】《SHASINKAN No.454》付属写真館
■■ INSIDER No.1123 2021/11/01 ■■■■■■■■■
何だかよく分からない総選挙の結果ーー自民は議席減で
も苦い勝利/維新はハッピー大躍進/立憲は重い敗北
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政権が代わって、まだその中身が国会でもマスコミで
もほとんど吟味に晒されていない内に早仕掛けで総選挙
をやってしまえば、さほど大きな負けにはならないとい
うのは、岸田文雄首相自身の判断だったと言われる。奇
襲戦法と呼ぶ者もいたこの戦術は、確かに効果があっ
て、選挙前には自民党議席276に対し単独過半数233を割
る可能性があるとの予測も飛び交っていたというのに、
蓋を開ければ、15議席を減らしたとはいえ261の「絶対
安定多数」を確保する大善戦で、岸田の思惑は的中した
と言えるだろう。
改憲ということになると、3分の2の310議席が必要
で、自民と公明を足しても293、国民民主を足しても304
でまだ足りないが、これに維新が加われば一気に334に
なる〔注2〕。しかし、そもそも公明は安倍流の改憲に
は全面賛成するはずがなく、国民民主も同様。仮に公明
と国民民主が乗れないような改憲案を持ち出して維新だ
けが賛成しても302で、やはり3分の1には届かない。
それにそもそも、岸田は確かに安倍・麻生に擦り寄って
権力の座を手にしたとはいえ、すべて安倍言いなりにな
って安倍流の改憲案を本気で推進しようとするのかどう
かは分からない。
★〔注1〕全常任委員会で委員の過半数を確保し、また
当然、委員長も独占しているので、すべての法案を通せ
る状態のこと。
★〔注2〕改憲への加除計算:
自民261+公明32=293
自民261+公明32+国民民主11=304
自民261+維新41=302
自民261+国民民主11+維新41=313
自民261+公明32+維新41=334
11月2日付毎日新聞によると、当選者の77%が「改
憲」そのものに賛成だが、9条改正で自衛隊の存在明記
に賛成は57%、緊急事態条項を設けることに賛成は60%
だった。
●甘利幹事長落選の衝撃
これが自民党の勝利だったと言えるのかどうかが分か
らなくなる最大の理由は、神奈川13区での甘利明幹事長
の落選である。比例復活で議席は保ったものの、自民党
の長い歴史の中で現職幹事長が地元で落ちるというの
は、前代未聞の珍事である。
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