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重症COVID-19感染者の救命

ドクター畑地の診察室
ドクター畑地の診察室114.2021.11.7. 現役呼吸器内科、総合内科専門医 畑地治です。 世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います!おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者(肺癌、喘息、COPD、肺炎など)を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説&ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信! https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 現在、松阪市民病院統括副院長兼呼吸器センター長 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php *************************************** 重症COVID-19感染者の救命 現在までのCOVID-19診療は診療の質まで手が回らず、“どこの病院が受け入れるか”までしか議論できていませんでした。しかし、受け入れ先の病院によって、挿管患者さんの救命率に差があることが都会では問題になりつつあります。先日、大阪の某病院呼吸器内科部長と話したところ、第5波の際の大阪で、病院によって救命率に歴然とした開きがあり、ほぼ100%救命できるところから、全く救命できないところまで様々であったとの話でありました。 なぜそのようなことになってきたのか、このことには理由があります。第4波まではほとんど重症化するのは高齢者や基礎疾患がある人に限られていました。したがって人工呼吸器管理を行っても、救命することが難しかったことは事実です。しかし第5波の重症感染者の中には、ほとんど高齢者はいませんでした。おそらくその理由は“ワクチン接種”であると思われます。第5波の重症感染者は、ワクチン接種を行っていない若年者であり、しっかりと人工呼吸器管理をし、適切な投薬をしてあげれば救命できました。 我々の病院でも、第5波の際には、従来の常識から考えるととても救命できそうにない重篤な肺炎をきたしたCOVID-19感染者が、後遺症を残さずに次々と退院していくことには驚きました。やはり若年者の重症肺炎は、適切な治療を行えば、そして粘れば何とかなることを目の当たりにしました。 “今後どうなっていくのか”の予想は難しいですが、おそらくワクチン接種した高齢者はあまり重症化せず、重症化するのは一部のワクチン接種していない若年者が多くなるのではないのでしょうか。その際には、適切な呼吸器管理と投薬が必要なのは言うまでもありませんが、それ以前にもっと若年者のワクチン接種率を向上させること、重症化する前に“ロナプリーブ”などの抗体カクテル療法を行ってあげられる体制づくりが大切だと思います。 現在のCOVID-19ワクチンは、1バイアル開封すると6名分接種できるようになっています。しかし接種率が向上しており、この6人分接種するということが非常に難しくなってきています。例えば、私の外来でワクチン接種を希望する患者さんがいたとしても、6名集まらないと接種できない状況は、なかなか難しく集め切れません。

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