いま尿素が高騰してる。尿素の生産国の一つが中国なのだが、中国では石炭から電気を使って尿素を生産してきた。ところが中国では「石炭価格が高騰」「運ぶ海運運賃が高騰」したことで石炭コストが大幅上昇。さらに「電力不足」の影響で尿素を作る工場の稼働率も落ちた。
このことから尿素生産に支障をきたしたため中国政府は国内需要を最優先して(まあこれは当たり前ですね)尿素の輸出に大幅制限をかけた。これが先月のこと。
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尿素は肥料の減量にもなるが、高純度の尿素水(商品名をアドブルーという)はディーゼルエンジンの使用に欠かせない。というのもディーゼルエンジンの排気ガスにはNOXと言って窒素酸化物が含まれこれが公害を引き起こす。
現在のクリーンディーゼルと言われる排気ガスが「きれい」とされるディーゼルエンジンでは高熱になった排気ガスに触媒を使いかつ高純度の尿素水を噴霧することで窒素酸化物に化学変化を起こさせて(尿素水が熱でアンモニアになりそれが窒素酸化物と混ざることで窒素と水に分解する)きれいにする仕組み。ガソリンスタンドや車内のアドブルータンクから常に車に補充しておかないとエンジンが起動できなくなるようになっている。
つまり尿素水がないのは軽油がないのに等しい。トラックやバスが走れなくなるのだ。
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で、日本の場合は尿素をコークスを原料に自給する体制を保ってきた。国内では宇部興産や三井化学が知られる。僕が勤めてた運送会社の買ってる高純度尿素水はいつも三井化学って書いてあったかな。
ところが韓国の場合は、ほぼ全量を中国からの輸入に頼ってきた。安いから。
経済安保の考え方の一つやね
日本では尿素水がなくなったら軽油がなくなるのと同じこと、っていうのがわかってる。だからコストが掛かっても国内自給体制を残した。また原料についてもコークスから取り出すのだがコンビナート内にコークスを産出する会社が多く比較的低コストで作れた。
韓国ではコスト最優先で中国からの全量輸入に取り替えた。経済構造からも低価格のコークスを手当てできなかったんだけど。
確かに日本では韓国に比べると「コストで負ける」面は多い。でもその裏にはこういう「経済安保」に関わるさまざまなシステム的なコスト負担もあるんだよな。。。
パンデミックが生んだサプライチェーンの混乱がここでも。混乱がさらに「物流の混乱」を生みかねない、今の所対岸の火事だけど。
中国は学んだだろう。あー尿素水止めたら韓国死ぬのね。しめしめ。
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陸運業には向かい風の話、化学株の一角には追い風の話。
ただしいまのところ株価を大きく動かすまでは行ってないが・・・。韓国の物流が止まったら、そこそこ日本にも影響はあるわけだが。。
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