■悩まない人はいない、迷わない人もいない
迷い人はいないし、悩まない人もいない。誰もが漠然とした不安を
抱えているものだ。不安になる人の多くは“○○らしさ”にこだわ
って、愚かな慣習で自分を苦しめている。
また「自分さえ我慢すればいい」と考えることは不幸の素だ。ばか
げた主義のために凝り固まり、無気力になって押し潰されそうにな
っていないか、自分の心に自問してみるべきだ。
周りに合わせて疲れてしまう人がいる。間違った常識を捨てれば穏
やかに過ごせる。トラブルや悩みを抱えていているのは、本来の自
分から脱線し、他人の意見や行動に縛られているからかも知れない。
どんな問題にも、簡単なルールがあるものだ。重要なことは、具体
的な考えが見つからない時、心の奥底の願望に従うことだ。正しい
か、間違っているかではなく、真実の思いに従うのだ。
偉大な思想家たちは「生きたいように生きよ」と述べてきた。人生
で目的を達した人の大半が、他のすべてを捨て、自分の心の奥底の
導きだけに従っている。
型にはまった旧い考え方は、頭の古い人間に背負わせるべきだ。自
分は重荷を背負い込むことを拒否するべきだ。一部の人たちはすで
にそれを実行しているのだ。
★
どんなに困難な情況にぶつかっても、できることがひとつだけある。
それは、情況の犠牲者に甘んじることを拒むことだ。甘んじている
人は「自分は一生、悩みから解放されない」と信じこんでいるのだ。
まずは目の前の問題を克服すべきだ。それができなければ、希望も、
解決も、未来も見えてこない。「思いこみや型にはまった考え方か
ら自由になりたい」と望まなければ進展はあり得ないのだ。
運命をしっかりと見つめ「自分の人生を支配してみろ」と挑めば、
運命のほうが縮みあがるはずだ。克服できない問題など滅多にない。
問題の多くは、間違った慣習や信念、ばかげた考え方のせいなのだ。
★
自分にも他人にも厳しい目を向けてしまう人がいる。人間関係に悩
む人は、相手に絶対の忠誠を誓うべきで、自分もその忠誠を受ける
べきだと思っている。だが、そんなことは不可能だ。
そういう人は、自分が完璧だと信じている。だが、百点満点の人に
ならなくていい。完全に愛すべき人であっても、全面的に誠実な人
物などいないのだ。
全面的に信頼でき、愛すべき、誠実な人などいない。この真実に目
を向けない限り、悩み続けることになる。そうなると親しい者同士
の間に持ち上がった問題さえ解決できない。
この真実を認めれば、自分や他人のどこが愛すべきで、信頼でき、
誠実なのかを発見することができる。そうやって発見したことは、
確固とした頼りにできるものであるはずだ。
★
相手に実際以上のものを期待すれば、失望することはなくなる。他
人をまるごと愛そうなどとは思わないことだ。そんなことはできる
はずはないのだ。できると思うのは幻想だ。
愛している人たちの中にプラスの性質を見出し、よくない点は「完
璧な人間などいないのだから仕方ない」と考え、受け入れるべきだ。
この姿勢を、他人だけでなく、自分にも貫くことだ。
そうしてはじめて、人は強くなり、自分を改めていけるようになる。
非難を拒否し、批判を無視し、恥の概念を捨てない限り向上など望
めないのだ。
親しい人の欠点で、特に自分を悩ませているものをリストにする。
そして「その人に原因があると思われる点」と「他の人、あるいは
他のことに原因があると思われる点」の2つに分けてみる。
血筋や背景などからくるものや、育った環境の中で培われてきたも
のもあるはずだ。その人に責任のない欠点を非難している可能性も
あるのだ。それを見極めるべきだ。
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