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この10年で変化したもの

ドクター畑地の診察室
ドクター畑地の診察室115.2021.11.14. 現役呼吸器内科、総合内科専門医 畑地治です。 世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います!おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者(肺癌、喘息、COPD、肺炎など)を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説&ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信! https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 現在、松阪市民病院統括副院長兼呼吸器センター長 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php *************************************** この10年で変化したもの 我々は呼吸器内科医として日々様々な診療を行なっています。どのような疾患が多いのか考えてみると、肺癌や喘息、COPD、間質性肺炎、感染症などです。 20数年ほど前まで肺癌は難治性の疾患であり、化学療法はほぼ無力でした。抗癌剤の点滴を行っても行わなくても、たった数ヶ月の違いしかなく、無力感を感じたものでした。しかし、この10年の間で最も治療法が進歩した疾患は、議論するまでもなく圧倒的に“肺癌”です。 肺癌については個別化医療が進み、単に化学療法を行うだけではなく、手術不能の進行肺癌については組織あるいは血液でドライバー遺伝子と言う遺伝子を検索することにより、分子標的薬が使える時代となりました。残念ながらドライバー遺伝子はすべての肺癌に見つかるわけではありません。しかし、現時点で肺癌の中の約半分以上にドライバー遺伝子が見つかります。その肺癌患者さんについて、適切な分子標的薬を投与すると、以前の化学療法に比べて圧倒的に少ない副作用で、また圧倒的な効果で腫瘍を小さくすることができるようになりました。 次に進歩したのは“喘息”です。喘息については、生物学的製剤を使用することにより、吸入ステロイドと気管支拡張剤だけではなかなかコントロールが難しかった喘息患者さんに対して、発作をほとんど起こすことがなく、通常の生活が送られるようになりました。(しかし高価なのがネックですが・・・) 十数年前までに進歩の花形であった“感染症”については、残念ながらあまり進歩は認められません。特に高齢化が進むと、効果がある薬剤を投与しただけでは改善する事はありません。体自体が弱っているため、根本的に体を丈夫にする方法が必要になるからです。現時点では投薬のみで体を丈夫にする方法はありません。

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