京王線でジョーカーを気取って大量無差別殺人を企てた男が捕まった。
例のごとく、この人の精神構造はどんなものかということでの取材がいくつかきた。
どこにも取り上げてもらえなかったが、私はある「疑念」を語った。
それは、この男性がSSRIと呼ばれる抗うつ剤を飲んでいなかったのかということだ。
アメリカでは90年代以降、日本では2000年代以降、拡大自殺と言われる異常な事件が続いている。
アメリカでは、銃を乱射して、警官に射殺されて死のうとする。別名、スーサイドバイコップ(suicide by cop)=警察による自殺、と呼ばれるもので、大事件をおこして警察に射殺してもらって自殺を果たすというものだ。
日本でも死刑になりたいと大事件を起こす。
池田小事件、秋葉原事件などがそれにあたる。
世の中を騒がせて死刑になろうとするという点では全日空のハイジャック事件もこれに当たるかもしれない。
これらの事件の共通点は、すべてSSRIというカテゴリーの抗うつ剤を服用している人たちだということだ。
シナプス内のセロトニンだけを選択的に増やすという種類のうつ病の薬で、余計な伝達物質を増やさないし、作用がシナプスの中でだけ起こるので、これまでの抗うつ剤のような副作用も起こさないドリーム・ドラッグと言われていたものだ。
しかし、シナプスの中である伝達物質が急に増えるというのは、覚せい剤と似た作用ともいえる。
確かにこれまでより有効性も高いし、副作用も少ないが、たとえば自殺念慮のある患者さんが、意欲を取り戻す代わりに自殺を決行させる頻度が高まることが問題にされた。
欧米では、イギリスのバンガー大学のデイビッド・ヒーリーのようにかなりの圧力を受けながらそれに闘う医者がいるが、日本ではその訳者の田島治先生等ごく少数の医者しかSSRIの危険性を訴える人はいない。
ジャーナリストの神足 裕司氏が、この問題に取り組んでいたが、世に出る前にくも膜下出血で倒れてしまった。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)