松尾スズキの【のっぴきならない日常】vol.491 HTML特別版（２／２）

松尾スズキの、のっぴきならない日常 / ２０２１年１１月１９日発行 /Ｖｏｌ．４９１（２／２） 「人生に座右の銘はいらない」 読者からの相談や質問に松尾スズキが独自の視点でお答えします！ Ｑ．仕事で人に頼るのがヘタで、「自分でやったほうが早い」と判断することが多いのですが、結局、忙しすぎて満足な仕上がりになりません。見栄とかプライドも邪魔している気がします。最近の舞台のお仕事は分業が確立しているかもしれませんが、仕事で人に頼るコツなどありませんでしょうか？（３８歳、女性、公務員） Ａ．デフォルトの低姿勢、ではないでしょうか？　わたしも、いろいろ試してきましたが、人生を長期的に見れば低姿勢以外の方法はないように思えます。歳をとればとるほど、できないことが多くなってきているのに、居丈高になっている場合ではありません。そろそろ介護脱毛にむけて舵を切っていかなければ、なんてことも考えています。人に頼るときは、普段、自分が出している声をワントーン上げている自分に気づきます。妻が、わたしの母の福祉施設の人と電話と話しているのを聞いていると勉強になります。とにかく高めの声を出しておけば間違いないようです。逆に、ここぞ、というときに低めの声を出したり、目つきを悪くしたりしてマウントを取りに来ている人のパターンにも気づいてきました。そうとう、しらけます。 Ｑ．瀬戸内寂聴さん、細木数子さんという二人の大御所が亡くなりニュースになっていました。年齢的に私は、お二人のことをそこまで知らないので、松尾さんの、二人に対するイメージを聞いてみたいです。（２０歳、女性、学生） Ａ．正直イメージがないのです。瀬戸内さんのほうは、清水ミチコさんが真似しているので、うっすら話し方が分かる程度で。少なくとも自分とはあまり関わりがないかなと。ショーケンが悪いことしたときの駆け込み寺、みたいなイメージはあります。お悔やみは、つくづく申し上げます。普段、瀬戸内さんの話も細木さんの話もしたことがないのに、この質問を選んだ北井くんが、なにもかも悪いのだと思います。なんでもかんでも、ふればいいというものじゃないんです。まだ女性では、樹木希林さんがお亡くなりなったとき以上の感慨を超える方はいません。