言いすぎか!!　弁護士 北村晴男　本音を語る　Vol.１３０

━＝━＝━＝━＝━＝━＝━＝━＝ 言いすぎか!! 弁護士北村晴男 本音を語る ━＝━＝━＝━＝━＝━＝━＝━＝ Vol.１３０ ２０２１．１１．３０ ■□■…………………………………… 目次 ……………………………………■□■ 　【１】　『中国の人権侵害に抗議 　　　　　　北京オリンピックはどうなる』 　【２】　『北村晴男の"素"』 　【３】　『番組出演予定 　　　　　　イベント情報』 …………………………………………… 　【１】　『中国の人権侵害に抗議 　　　　　　北京オリンピックはどうなる』 理不尽な要求にも従わなければ 生きていけない社会 中国のプロテニスプレーヤー・彭帥（ほう・すい）選手が今月（11月）2日、中国版ツイッター「微博（ウェイボー）」で「張高麗（ちょう・こうらい）前副首相から性的関係を迫られた」と告発。それ以来、消息不明となっている。 中国政府は躍起になって火消しをしており、いまだに彭選手の消息は明らかになっていない。 彭選手は35歳、相手の張前副首相は75歳。40歳もの差。だが中国では、いくらウィンブルドン選手権で優勝経験のあるトッププレーヤーといえども、政治的な権力者の強要を受け入れ、その権力者に従わなければ、生きていくことができない。 「あなたのような立場の人から見れば『何も怖くない』のでしょう。でも、卵が石にぶつかるかのように、一匹の蛾虫が火のなかに飛び込むように、私は自爆的な手段をとって事実を口に出します」 こう書かれた投稿は20分程度で削除された。その後、中国国内では検索エンジン「百度（バイドゥ）」で中国語のテニス「网球」と打って検索しても、11月2日以降のテニス記事すべてがヒットしない。中国当局が閲覧を妨害しているのだ。 強要の程度はわからないが、拒めば、少なくともテニスの国際大会には出られないだろう。だが、これで済めば中国社会ではまだ緩（ゆる）い方だ。 ウイグル人に対する弾圧に関していうと、たとえば外国で生活しているウイグル人が中国国内で起きている人権問題を告発しようとすると、その親戚や知人を中国当局が身柄拘束し、あるいは仕事を奪うなど経済的に重大な不利益を及ぼすなどの脅迫を行う。そうやって海外での行動の自由を奪う。そんなことが日常的に行われている。 これはオーストラリア人の国際弁護士で、オーストラリア連邦議会議員やシドニーオリンピック担当大臣を務めたアンドリュー・トムソンさんの著書「世界の未来は日本にかかっている―中国の侵略を阻止せよ」などにも詳しく書かれているが、これは一貫した中国共産党の行動指針だ。自分の思う通りに相手をコントロールするためには、穏やかな脅迫からえげつない脅迫まで、何でもする。 だから中国社会においては、権力者の意を受け入れるかもしくは亡命するかしなければ、大好きなテニスで国際大会に出場することなど絶対にできない。中国人でいる限りは理不尽を受け入れるしかない。 「明確な証拠」が出てくるはずはない 日中友好議員連盟（1973年に発足した日本の超党派の議員連盟）、いわゆる日中議連の議員たちは、今回の彭帥選手の問題だけでなく、チベットやウイグル人に対する中国の人権問題に関しては、いっさい発言しない。 11日、外務大臣に新しく就任した林芳正議員は就任の記者会見で、日中議連盟の会長を「無用な誤解を避けるため」に辞任すると表明した。 その際、中国の人権問題に関しては「深刻な人権侵害にはしっかりと声を上げる」としたが、「民主化に向けた努力を行っている国との間では対話や協力を重ね、自主的な取り組みを促す」と述べた。 冗談でしょ。中国が「民主化に向けた努力を行っている」形跡などまったくない。 公明党の山口那津男代表も、日中議員連盟の常套句を使って発言する。 今年3月の記者会見でウイグル問題について「日本が対中制裁に踏み切る欧米諸国と足並みをそろえるべきか」と問われ、「根拠を持って認定できるという基礎がなければ、いたずらに外交問題を招きかねない」と発言。 「明確な証拠がない」と言ってしまうと、何もできなくなる。なぜなら、国際関係においては日本の裁判などが想定する「明確な証拠」など永久に出て来ないのだから。 国際的には、国内の刑事司法手続きのように、強制的に捜査して事実を明らかにするという仕組みがない。