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佐々木俊尚の未来地図レポート 2021.12.6 Vol.682
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【今週のコンテンツ】
特集
そもそも「プライバシー」概念には150年の歴史しかなかった
〜〜盛り上がってる「監視資本主義」批判は正しいのか?
未来地図キュレーション
佐々木俊尚からひとこと
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■特集
そもそも「プライバシー」概念には150年の歴史しかなかった
〜〜盛り上がってる「監視資本主義」批判は正しいのか?
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プライバシーの問題が大きな議論になってきています。最初のきっかけになったのは、2016年のケンブリッジアナリティカ事件でしょう。
これは選挙コンサルティング会社の名前なのですが、フェイスブックから取得した大量の個人データをもとに、イギリスのブレグジットやアメリカ大統領選での投票行動に影響を与える手法を仕掛けていたというものです。これがどのぐらい効果があったのかは結果としてよくわかっていないのですが、「国民のプライバシーを盗んで大統領選に影響を与えるとは何ごとか!」と多くの人が怒り、フェイスブックCEOのザッカーバーグはアメリカやEUの議会に呼ばれて「吊し上げ」に近いほどに激しく問い詰められました。
以来、だれもが使っている皆の友だちだったフェイスブックはすっかり悪役のイメージに墜ち、最近社名を「メタ」に変更したのもイメージ刷新の理由もあったんじゃないかと言われています。
プライバシーの保護についてはもともとEUがたいへんうるさく、「人びとが自分の個人データをコントロールする権利を取り戻す」ということを目的にしたGDPR
(一般データ保護規則)という厳しい法律を2016年に施行しています。いっぽうアメリカはGAFAのようなビッグテックが主導して、個人データをガンガンに使いまわす方向に進んでいました。なぜかって言えば、AIの深層学習には膨大なビッグデータが必要であり、「データは新しい石油である」とまで言われてきた中で、個人データをたくさん取得することこそが、さらなるAIの進化には必要だと考えられてきたからです。
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