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第159号(2021年12月27日) ウクライナを巡るロシアの「二重のメッセージ」 太平洋艦隊の原潜増勢

小泉悠と読む軍事大国ロシアの世界戦略
【今週のニュース】太平洋艦隊向け新型原潜が相次いで就役・進水  12月21日、セヴェロドヴィンスクのセヴマシュ造船所において、2隻の新型原潜がロシア海軍に引き渡された。最新鋭の955A型(ボレイ-A型)弾道ミサイル搭載原潜(SSBN)の2番艦「クニャージ・オレグ」と885M型(ヤーセン-M型)多用途原潜の2番艦「ノヴォシビルスク」がそれであり、双方とも太平洋艦隊に配備される(https://tass.ru/armiya-i-opk/13260729)。  さらに12月25日には同じセヴマシュ造船所で955A型SSBNの3番艦「スヴォーロフ元帥」が進水したが、これも配備先は太平洋艦隊。建造中の4番艦「皇帝アレクサンドルIII世」(来年末までに進水予定)も太平洋艦隊配備となるようだ。  他方、現在の太平洋艦隊に配備されているSSBN戦力は以下の通りである。 ・955型(ボレイ級):2隻 ・667BDRM型(デルタIII型):1隻  このうち、667BDRM型はもう間も無く退役と見られているが、これに合わせて「クニャージ・オレグ」が配備されれば艦隊全体としてのSSBN戦力は3隻のままで維持できよう。さらに2020年代後半には「スヴォーロフ元帥」と「皇帝アレクサンドルIII世」が竣工・就役してくるわけなので、太平洋艦隊のSSBN戦力は計5隻と現行の北方艦隊に近くなることが見込まれる。 【NEW CLIPS】太平洋艦隊の潜水艦が日本海でカリブル巡航ミサイルを発射 ロシア国防省、2021年12月21日 <https://www.youtube.com/watch?v=uT25SYzvq2A> 【インサイト】ウクライナ情勢 ロシアからの「二重のメッセージ」 ・剣呑な年末  2021年最後のメルマガをお届けします。  通例だと各年の最終号は新年のご挨拶であったり「今年の十大ニュース」であったりと締めのモードに入るのですが、何しろ今年はウクライナを巡る緊張除隊が維持されたまま最終号発行日を迎えてしまったので、ちょっと店を仕舞えない雰囲気になってしまいました。  ということで年の瀬に申し訳ないのですが今週もウクライナ情勢のお話です。 ・西側向けのボール  さて、ウクライナ周辺におけるロシア軍集結についてはこのメルマガでも散々取り上げてきましたし、少し前にはYahoo!ニュース個人に現時点での私の考えをまとめたものを書きました。基本的な見方はこの記事の時点から大きく変わっていないので、詳しくはこちらを参照願えればと思います。 「米露首脳会談でも止まらない ロシアによるウクライナ侵攻の危機」『Yahoo!ニュース個人』2021年12月10日 <https://news.yahoo.co.jp/byline/koizumiyu/20211210-00272010>  ただ、この記事を書いた後でロシアからはNATO東方不拡大に関する提案(前号に抄訳あり<https://note.com/cccp1917/n/n140ae635443e>)が出てきたり、これに対して米国が対話に応じる姿勢を見せたりと、ちょっと新しい動きも出てきました。ラヴロフ外相によると、対話の第一ラウンドは来年年明けにも開催する方向で調整中とのことです(https://jp.reuters.com/article/russia-security-idJPKBN2J1246)。  ということで、ロシアが投げたボールはとりあえず西側のキャッチャーミットに一応届いた、ということになるでしょう。もちろんNATO東方不拡大のような要求がすんなり通るとは到底思われませんが、前号で取り上げた9ヵ条の要求の中には危機時の対話メカニズムのように交渉可能なテーマも含まれているので、しばらくは対話モードに入っていくのではないかと見ることはできそうです。 ・もうひとつのボール:ウクライナ向け

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  • ロシアは今、世界情勢の中で台風の目になりつつあります。 ウクライナやシリアへの軍事介入、米国大統領選への干渉、英国での化学兵器攻撃など、ロシアのことをニュースで目にしない日はないと言ってもよくなりました。 そのロシアが何を考えているのか、世界をどうしようとしているのかについて、軍事と安全保障を切り口に考えていくメルマガです。 読者からの質問コーナーに加えて毎週のロシア軍事情勢ニュースも配信します。
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