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Prof.サカキの市況展望 プラス 教授に質問!
2022年1月4日 新年特別号
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あけましておめでとうございます。榊原正幸です。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
本日は「新年特別号」として、新たに書き下ろした記事をお届けします。
前半部分は、年始のまぐまぐ公式メルマガ(MONEY VOICE)にも掲載されていますが、以下はその続きを含む全文となります。
有料メルマガ購読者様限定ですので、ぜひご覧ください。
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●早期リタイア「FIRE」族の破綻が急増するワケ。日本人向けリタイアプラン「FIRA60」で仕事と老後の充実を得る方法とは?
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◆「資産運用」と「仕事」こそリタイアメントプランの両輪
私のメルマガでは原則として、PART1で日本の株式市場に関する市況を展望して参ります。それによって、株式投資による資産運用に資する内容を記述して参ります。配信は毎月1日で、号外も毎月1回は配信しています。
私自身が30年間、大学教授として東北大学と青山学院大学に奉職してきて、会計情報と株式市場について研究してきており、その研究に基づいた株式投資で成功を収めて参りましたので、その知見を皆様にもお伝えして参ります。このPART1は、日経平均株価の先行きに関する予測が主な内容です。
そして、PART2で、最新の書き下ろし原稿の連載や皆様からのご質問にお答えするといった内容を掲載しています。2021年6月の創刊から現在までは、日本人の正しいリタイアの仕方(「FIRA60 = ファイラ60」と命名しています)について記述してきています。
今回は、「特別増刊号」として、表題の内容で記述していこうと思います。
◆貧困になりたくないなら、「FIRE」ではなく「FIRA60」をめざせ
私は、「FIRA60(Financial Independence, Retire Around 60=経済的自立と60歳前後の退職)」を提唱しています。私自身が59歳と9ヵ月の時点で、定年までの任期を9年残して青山学院大学を自主的に退職して悠々自適の隠居生活に入ることができたので、そういった経験に基づいて、この「FIRA60」を日本人の正しいリタイアの仕方として提唱しています。
この「FIRA60」は、巷でブームの「FIRE(Financial Independence, Retire Early)と似たネーミングですが、その内容は「FIRE」とはまったく異なります。
「FIRE」を目指す人達は、30代や40代で「早く(できるだけEarlyに)」リタイアすることを望みますが、「FIRA60」は、ネーミングのとおり、「60歳前後の退職(Retire Around 60)」を提唱するものだからです。
むやみに早く仕事を辞めても、ろくなものではないのです。人生は長いので、社会への参加と社会貢献を「イヤじゃない仕事」によって実践し続けて、還暦前後くらいまでは、きちんと働いた方が有意義な人生です。そして、たっぷりとお金も貯めて、還暦前後くらいから一生安泰の楽隠居に入ることが「充実したバラ色の人生」であると確信しています。
いくらブームだからといっても、若い人が安易に「FIRE」に走ることには大きな危険が潜んでいます。そして、「FIRE」の現実は、「若い時から死ぬまで一生、節約生活」ですから、全く魅力的ではないのです。詳しくは以下で述べて参ります。
◆5000万円では全く足りない。杜撰な「FIRE」は不幸への一本道
12月13日のビジネスサテライト(テレビ東京系列のニュース番組)で「FIRE」のことが取り上げられました。その番組で、「ともすると人生の落伍者になってしまうかもしれない生き方」を「FIREの成功例」のように取り扱っていたことに強い危機感を覚えました。
その放送内容を簡単に紹介します。
夫婦と3歳の娘さんが1人いる世帯の旦那さんが31歳で本業を辞めてしまいました。運用資金総額がたった5,000万円で、あとは Youtuber とブログのアフィリエイト収入だけ。奥さんは共働きだったため、まだ働いています。旦那さんが本業を辞める前までは世帯年収が1,500万円あったので、年間400万円で生活して、近年は毎年1,000万円以上を運用資金として貯めてきたそうです。2014年から株式投資を始めて、運用資金として5,000万円の資産を形成したそうです。
それで、旦那さんが31歳で本業を辞めてしまって、苦手な料理を担当して、ヒマな時は昼間から卓球、だそうです。
いやいや、待て、待て、と。
まず、推察するに、この旦那さんが達成してきた運用利回りは、せいぜい手取りで「4%」がいいところなのでしょう。運用利回りが4%よりももっと大きいなら(最初の頃は投資に充てる金額が少なかったのかもしれませんが)、近年は毎年1,000万円以上を運用資金として貯めてきて、7年間で運用資金総額が5,000万円ぽっちではないはずですから。
そしてなにより、この旦那さんのリタイア後の年収は推定で250万円です。年率4%の運用益200万円とYoutuber とブログのアフィリエイト収入が年間でせいぜい50万円でしょう(これは私の推定額です。Youtuber やアフィリエイトは、普通は思ったほど稼げません)。しかも、いずれも不安定な収入です。
本業では、推定ですが750万円を稼いでいたのでしょうから、500万円もの歳入欠陥です。それでは、まだ辞めてはダメにきまっています。
奥さんがまだ働いているので、当面は、経済生活は破綻しないでしょうが、奥さんもFIRE志望だそうですから、この旦那さんの決断は早計だったと言わざるを得ません。
だいたい、自分だけ先にFIREしてしまうなんて、奥さんがかわいそうなのでは?とも思いました。奥さんもFIRE志望だそうですからね。
◆仕事を辞めるなんて“30年”は早い
思うに、31歳というのは、私の人生に当てはめると、オーバー助手で就職浪人中でした。その時に、運用資金が5,000万円あったとしても、3歳の子供がいて、奥さんも働いていたら、自分だけが仕事を辞めるなんて、考えもしません。
31歳というのは、人生において「さぁ、今から駆け出そう!」という、文字通りの「駆け出し」の時期です。その時点で本業を辞めてしまって、たかだか5,000万円の運用益と、か細い副業で暮らそうなんて、無謀もいいところ!
そして、もし仮にうまくいって、奥さんが辞めるまでに1億円くらい貯まったとしても、家族3人で年間400万円という慎ましい生活を一生強いられることになるのでしょう。しかもそれでは(特に、東京都内在住でしたら)、家賃や子供の教育や自分たちの老後の医療・介護を考えると、年間400万円ではカツカツか足りなくなります。
年齢が80歳くらいだったら、5,000万円でもまぁいいでしょうが、31歳で5,000万円では「か細すぎ」です。若い人は「人生の残り時間」が多いので資金総額はたくさんないと盤石とはいえないのです。5,000万円では、「はぁ~??」ってかんじです。「5億円」の間違いじゃないの?と思いました。31歳でリタイアするのであれば、5,000万円ではなくて、「5億円」くらいないと安心できませんよ、と。
そして、その旦那さん曰く、「また働きたくなったら働けばいいと思っているのでぇ(笑)」だそうです。
オジサンは、「世の中、そんなに甘くないですよ」と言いたくなってしまいました(苦笑)。そんな人は、5年もしないうちに、運用に失敗して、歳入欠陥を補うために、非正規で、かつ不本意な仕事に就くのが目に見えているからです。職業観が甘すぎます。
◆“一刻も早く”仕事を辞めたがる人の問題点とは?
なぜみんな「早く」辞めたがるのでしょう?
サーフィンは若いうちしかできないから?
子供が小さい時を一緒に過ごしたいから?
そんなのみんな言い訳で、ただひたすら仕事がイヤになっているだけですよね。
だったら、たかだか5,000万円で辞めてしまうような暴挙に出るのではなく、「イヤじゃない仕事」に就けるように、死にものぐるいでスキルを身につけて「イヤじゃない仕事」に就くことを考えるべきです。そして少なくとも「Around 60(アラ還)」までは働けばいいのです。
効率的に働けば、本業を辞めてしまわなくても、ある程度満足できるくらいはサーフィンだって子育てだって、その他の趣味だってできます。
そしてどっちみち、50歳を過ぎれば、時間の問題で、(よほど「好き」な仕事でない限り)どんな仕事でもイヤになりますから――(この続きはメルマガにご登録ください)
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