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【Vol.412】冷泉彰彦のプリンストン通信『在日米軍を考える』

冷泉彰彦のプリンストン通信
「形式主義という病」  一部の報道によりましと、財団法人の「大阪府結核予防会」が運営する 病院で副院長だった男性医師が約130通の死亡診断書について、医師免許 の登録名と異なる名前で署名していたという報道がありました。これは医師 法施行規則の違反だそうで、病院側は外科医をけん責の懲戒処分にしたと報 じられています。  法令違反ですから、処分は必要でしょう。ではどういうことだったのかと いうと、死んでもいない人に死亡診断書を書いたとか、死因を間違えたとい うことではありません。また無資格者が書いたのでもありません。問題は、 この医師が、どうやら姓名判断などから通称を使っていた人で、ついつい通 称でサインしてしまったということのようです。  良いことではないと思いますが、報道する意味があるのかは大いに疑問で す。救いがあるのは、該当の病院が「遺族への説明を含めた今後の対応方針 などについて具体的な回答は拒否した」ことです。これは正しいと思います。  例えばですが、悪性腫瘍などで若くして家族を亡くされた遺族が、少し後 になって「死亡診断書の件ですが、悪い医師が戸籍名でなく通称でサインし たのでお詫びします」とか、あるいは「死亡診断書を作り直したので、火葬 場にもう一度行って差し替えていただけますか?」などという説明をしたら どうでしょう。遺族の悲しみを逆撫でする行為であり、全く必要のないどこ ろか反社会的ですらあります。  良いことではありませんが、報道は不要だし、まして遺族対応をなどと新 聞社が迫るのであればそっちの方が大問題です。これもまた形式主義という 病が日本を蝕んでいる例だと言えます。

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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