「形式主義という病」
一部の報道によりましと、財団法人の「大阪府結核予防会」が運営する
病院で副院長だった男性医師が約130通の死亡診断書について、医師免許
の登録名と異なる名前で署名していたという報道がありました。これは医師
法施行規則の違反だそうで、病院側は外科医をけん責の懲戒処分にしたと報
じられています。
法令違反ですから、処分は必要でしょう。ではどういうことだったのかと
いうと、死んでもいない人に死亡診断書を書いたとか、死因を間違えたとい
うことではありません。また無資格者が書いたのでもありません。問題は、
この医師が、どうやら姓名判断などから通称を使っていた人で、ついつい通
称でサインしてしまったということのようです。
良いことではないと思いますが、報道する意味があるのかは大いに疑問で
す。救いがあるのは、該当の病院が「遺族への説明を含めた今後の対応方針
などについて具体的な回答は拒否した」ことです。これは正しいと思います。
例えばですが、悪性腫瘍などで若くして家族を亡くされた遺族が、少し後
になって「死亡診断書の件ですが、悪い医師が戸籍名でなく通称でサインし
たのでお詫びします」とか、あるいは「死亡診断書を作り直したので、火葬
場にもう一度行って差し替えていただけますか?」などという説明をしたら
どうでしょう。遺族の悲しみを逆撫でする行為であり、全く必要のないどこ
ろか反社会的ですらあります。
良いことではありませんが、報道は不要だし、まして遺族対応をなどと新
聞社が迫るのであればそっちの方が大問題です。これもまた形式主義という
病が日本を蝕んでいる例だと言えます。
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