ドル高持続の前提が危うい
「21年はドルが最強通貨だったが」
昨年は主要国通貨の中で米国ドルが最強通貨となりました。主要6通貨に対するドル指数も昨年は7%の上昇となっています。コロナ禍でも米国が積極的な経済支援策の下で真っ先に経済が立ち直り、日欧に先駆けて金融緩和の修正が始まりました。これを先取りするように、市場金利や金利先物も金利上昇を織り込み、その中で世界の緩和マネーがドル資産に流入しました。
日本の機関投資家も、生保などは積極的に米国債を購入し、ドル高を促進した面がありますが、途上国からも資金が流出し、米国に向かった模様です。米国の緩和修正に追随しなかったトルコのリラが昨年初来、対ドルで44%もの大幅下落したことは周知のとおりで、多くの国では通貨防衛のために金利引き上げなどで対応を余儀なくされました。
そして2022年には米国が政策金利の引き上げを始めることがほぼ確実視されていて、主要通貨に対してドルは引き続き上昇を見込む投資家が多くなっています。しかし、11日に米国上院銀行委員会が開いたパウエルFRB議長の再指名に関する公聴会で、パウエル議長は年内の利上げと保有資産の圧縮を示唆する発言をするなど、これまで以上に強い引き締め姿勢を提示しました。
ところが、それでもドルは上昇しませんでした。翌12日には12月のCPIが前年比7.0%の上昇と、40年ぶりの大幅高となった中で、ドルは大きく下落しました。これまでのドル高を支えてきた要因に変化が見られるだけに、そしてドルの上昇が2年続くことは比較的少ないだけに、ドル続騰を前提にすると、しっぺ返しを受ける可能性があります。
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