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高野孟のTHE JOURNAL Vol.533 2022.1.17
※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《INSIDER No.1134》
岸田首相の「新しい資本主義」のどこが新しいのか?/
『文藝春秋』2月号の論文を精読する
【2】《CONFAB No.534》
閑中忙話(1月9日~15日)
【3】《FLASH No.443》
公明党の遠山清彦元議員の在宅起訴は、自公連立が日本
政治のがんであることを象徴する事件/日刊ゲンダイ1
月13日付「永田町の裏を読む」から転載
【4】《SHASIN No.463》
■■ INSIDER No.1134 2021/01/17 ■■■■■■■■■
岸田首相の「新しい資本主義」のどこが新しいのか?/
『文藝春秋』2月号の論文を精読する
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岸田文雄首相が『文藝春秋』2月号の巻頭で「私が目
指す『新しい資本主義』のグランドデザイン」を“緊急
寄稿”した。何が“緊急”なのかと思えば、冒頭の一節
「私の提唱する新しい資本主義に対して、何を目指して
いるのか、明確にしてほしいといったご意見を少なから
ずいただきます。……このような声にお答えすべく、私
が目指す新しい資本主義のグランドデザインについて、
お話をしたいと思います」で明らかなように、彼の「新
しい資本主義」の何が新しいのかが明確でないという声
が圧倒的なので、何とかそれに答えなければならなくな
ったということなのだろう。
しかし、結論から言うと、これを読んでもやっぱり彼
の「新しい資本主義」のどこが新しいのかはよく分から
ない。本誌はNo.1127「日本政界を覆う『哲学の貧困』
の深刻/例えば『デジタル田園都市構想』の浅薄極まり
なさ」でそれを論じているので、一部は繰り返しになる
けれども岸田文春論文を吟味しておきたい。
●福祉国家論は無評価、新自由主義は否定?
(1) 「資本主義は、市場を通じた効率的な資源配分と、
市場の失敗がもたらす外部不経済、たとえば公害問題へ
の対応という、2つの微妙なバランスを常に修正するこ
とで、進化を続けてきました」(P.95)
これはもちろん「資本主義」の本質論ではなく機能面
のみを取り上げている。
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