■■ 2022/01/19 ■■
兵頭正俊の優しさ出前
~3分でマスメディアとは違ったステージに招待します
~
■■■■■■■■■■■■■■
内容のレベル:中高級者向け
発行人 :兵頭正俊
登録解除はここから。
http://bit.ly/AvYMkY
━━━━━━━━━━
◆ 中国と日本との宿命的な懸隔 (その3) ◆
━━━━━━━━━━
(引用続き)
この20年にわたって、この国の経済成長の多くを牽引し
てきたのは不動産市場バブルと積極的な企業借入だっ
た。現状でも、不動産と建設は中国経済の29%を担っ
ており、これは先進国の2倍のレベルに相当する。他の
セクターも不動産価値に大きく依存している。地方政府
の収入の約3分の1は土地売却(リース)によるものだ
し、住宅価格の高騰が近年の消費者の借入増に拍車をか
けている。企業の債務レベルも上昇している。2008年
以降、中国企業の借入額が国民所得に占める割合は他の
主要経済国よりも高く、現在では国内総生産(GDP)
の160%を超えている。
政府は何年もの間、デフォルト寸前の企業、特に戦略的
に重要とみなされる企業を救済するために介入してき
た。中国中鋼集団、中国東方航空、ソーラーパネルメー
カーのサンテックパワー、電気機器大手のバオディン・
ティアンウェイ(BTW)などだ。しかし、今回は違う
ようだ。2020年にCOVID19パンデミックによって不動
産販売が落ち込み、恒大集団が、資金繰りができなくな
ったときも、北京は傍観した。新たに制定された不動産
開発業者の借入制限も、同社の新たな資金調達を妨げて
いる。
債務支払いが難航するなか、北京はこの窮状を逆手にと
って、他のデベロッパーにリスクの高い借入を止めるよ
うに警告した。中国の中央銀行総裁は、この「不始末」
を公然と非難し、習近平国家主席も、同社の成長を支え
る「不動産投機マニア」を非難した。「家は住むための
もので、投機対象ではない」
習近平が過剰債務を攻撃するのは、今回が初めてではな
い。2016年、北京は企業のレバレッジ(借入を利用し
た投資)を抑え込む措置をとったが、2年後にはそれは
倍増していた。おそらく、恒大集団の凋落は、中国にお
けるレバレッジをテコにした成長の終焉という転換点を
意味している」
(引用終わり)
2021年3月、市場アナリストたちは、中国第2位の不動
産開発企業、エバーグランデグループ(中国恒大集団)
の2021年の収益は70%増大すると予測。しかし同年9
月、約3000億ドルの負債を抱えた不動産業界の巨人
は、1億3100万ドルの社債利払いができなくなった。
習近平は救済に乗り出さず、ショックを受けた投資家は
呆然とするしかなかった、という。
これが中国だ。
中国を論じる人は多い。
しかし、中国の未来の危うさ、危機を論じる人は少な
い。
中国の総人口はおよそ14億1000万人。これだけでも巨
大な国家である。
その中国では、60歳以上の割合が大きく増え、高齢化
が進んでいる。
ここで中国の危機を考えてみる。
1 2018年に始まった、長期化する「米中貿易戦争」
2 以前から、外国さらには中国国内の製造業者が、賃金
の高騰などから生産拠点を東南アジア諸国に移す動きが
見られたが、その流れがさらに勢いを増している。
3 恒大集団の下落と習近平の経済政策の無能とは密接に
繋がっている。2020年にCOVID19パンデミックによっ
て不動産販売が落ち込んだときも、習近平は助けなかっ
た。ただ、傍観しただけだった。習近平は経済が苦手な
ようだ。
「家は住むためのもので、投機対象ではない」。この習
近平の時代遅れの認識では恒大集団を助けることはでき
ない。恒大集団の凋落は、中国成長の終焉という転換点
を暗示している。
4 コロナウイルスの発生が「中国生産移転」を加速
これは人為的なものではない。COVID-19が、中国離れ
を各国に勧めている。
5 文化の違いから発生する日中の問題
日中間でもそうであるが、言語や文化の違いからくるト
ラブルの問題。
長期的な戦略で利益を出したい日本側と、日本の資金と
技術を盗むのに強い関心を持ち、戦術的に動く中国側と
では最初から懸隔があるのである。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)