週刊 Life is Beautiful ２０２２年１月２５日号：Axie Infinity はポンジースキームか？

今週のざっくばらん Axie Infinity はポンジースキームか？ このメルマガでは、ブロックチェーンやNFTについて色々と書いて来ましたが、今回は、その中でも注目を集めているAxie Infinityについて私なりの解説をしようと思います。 Axie Infinity はオンラインゲームの一つですが、NFT を活用している点と、"Play to Earn" というコンセプトを全面に出している点で、これまでのオンラインゲームとは大きく異なります。 Axie Infinity を遊ぶには、Axie と呼ばれるモンスターを３つ持っている必要があり、これらのモンスターを使ってゲームをするのです。オンラインゲームでよくある、「キャラクター・ゲーム」の一つです。 Axie Infinity が通常の「キャラクター・ゲーム」と異なるのは、それぞれのモンスターがブロックチェーン上のNFTと紐づいており、プレーヤーは、ゲームの外で３つのNFTを入手しなければならない点です。 NFTのオープンマーケットとして最も広く使われている Opensea というウェブ・サービス上で Axie を探すと、それぞれのNFTがどのくらいの値段で取引されているかがすぐに分かります。 取引は、暗号通貨の Ethereum (ETH)で行われており、それぞれ 0.13ETH、0.065ETH、0.0992ETH で取引されています。執筆時点の相場で日本円に変換すると、47,847円、23,903円、36,501円です。 Axie の値段はさまざまですが、ここに挙げた Axie が特に高いわけではなく、これが相場です。つまり、Axie Infinity を遊ぶためには約１０万円以上のお金が必要になのです。 ゲーム端末向けのゲームの相場は数千円だし、モバイルゲームの大半は無料であることを考えれば、Axie Inifinity の１０万円はとても高価です。 そんな高価なゲームにも関わらず Axie Inifinity に人気が集まっているのは、"Earn to Play" というお金が稼げる仕組みと、スカラーと呼ばれる Axie を借りるシステムがあるからです。 Earn to Play は、文字通り「遊んで稼ぐ」仕組みのことです。Axie Inifinity は、所有している３匹のモンスターを使って特定のクエストをクリアすると、お金を稼ぐことが出来るのです。 稼いだお金は、日本円やドルなどの法定通貨ではなく、SLP（Smooth Love Potion）という暗号通貨で渡されます。そのため、それを現金に変えるには、（SLP が上場している）仮想通貨の交換所で Ethereum に交換した後に、（Ethereum を法定通貨に交換出来る）別の交換所で法定通貨にする、という手間をかける必要があります。 SLPの相場は、以下のように乱高下しているので、注意が必要です（下のグラフは、CoinMarketCapで調べたもの）。 SLPが高騰していた去年の４〜８月にかけては、Axie Inifinity を遊ぶと１〜２ヶ月で元が取れることが話題になって大量のユーザーを集めていました。特に人々の年収が少ないフィリピンなのでは、Axie Inifinity で生計を立てる人まで大量に現れるという社会現象になったそうです。平均年収が５０万円程度のフィリピン人にとっては、月に５〜１０万円稼げる Axie Infinity が魅力的だったのは当然です。それまでの仕事を辞め、Axie Inifinity だけを「仕事」としてプレーする人たちがたくさんいたのです。 しかし、低所得者にとっては、最初に Axie を３つ（つまり、モンスターを三匹）手に入れるための１０万円はとても高価で、それが参入障壁になっていました。 そこで Axie Inifinity は、スカラーという仕組みを導入しました。スカラーはマネージャと呼ばれる資産家から Axie を借り、そこで稼いだ SLP を折半するという仕組みです。この仕組みにより、自分で購入する資金を持っていないけれども Axie Inifinity で稼ぎたい労働者（スカラー）と、資産運用の一環として Axie を購入してスカラーに貸し出して稼ぎたい投資家（マネージャ）という関係が成立するようになり、Axie Inifinity は一気にユーザーを増やし、７月には Daily Active User が３０万人を越したのです。 ここまで読んで、読者の皆さんは、Axie Inifinity にさまざまな印象を持っただろうと思います。自分も Axie Infinity を遊んで稼いでみたい自分も Axie を購入してスカラーに貸して稼いでみたい私も Axie Infinity のようなサービスを作って稼いでみたい良く分からないけど、画期的なビジネスモデルが生まれているように感じる などと考えた人もいるでしょうし、良く分からないけど、とても胡散（うさん）臭いプレーヤーに渡す賞金の原資はどこから来ているのだろう？これって本質的にはポンジースキームと同じだ と感じた人もあると思います。 Axie Infinity の存在を知って以来、さまざまな資料を読んだり、実際に Axie Infinity を遊んでいる人と話したりして勉強しました。 結論から言えば、