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伏木悦郎のメルマガ『クルマの心』
第461号2022.1.18配信分
●石橋を叩いてなお渡らず
前号からの続きから入ることにしよう。現在のトヨタの好況は、奥田碩第8
代社長に始まる内部昇格社長(張富士雄、渡邉捷昭)三代各氏の海外現地生産
によるグローバル化が基礎になっている。40万台/年を10年以上に渡って推進
した結果、「雇用維持のために譲れない」豊田章男社長が拘り続ける国内生産
300万台体制に倍する海外生産を実現した。
多分、豊田創業家の経営のままであったら成し得なかった荒技だった。時代
を見極めて即断即決。スピードが問われるようになったのは、インターネット
の普及による情報の即時性と無関係ではないだろう。
石橋を叩いてなお渡らず、世の中に普及してからTPSによる力業で市場を
舐めつくす。その家訓に基づいた経営スタイルが染みつく昭和の経営スタイル
のままでいたら、今日の世界に冠たるOEMトヨタの自動車メーカーの地位は
多分なかったと思う。
昭和の経営が最高潮に達したバブル期のトヨタは、当時サバイバルの基本と
考えられていた『400万台クラブ』の”会員資格”を備えていた。日本の年間
自動車生産が1100万台を突破して世界一となったのは1980年。オイルショック
と排ガス規制という1970年代に急浮上した省エネ/環境問題を、集中と選択に
よる技術立国で凌いだ結果だが、それが日米に跨がる貿易摩擦を過熱させた。
結果として昭和の末年に1300万台超まで伸びるのだが、その前に双子の赤字
(経常収支と財政収支)に苦しむアメリカが痺れを切らしてプラザ合意(G5
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