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【Vol.414】冷泉彰彦のプリンストン通信『ウクライナ危機、想定シナリオ』

冷泉彰彦のプリンストン通信
「東大理3は高IQ人材の成長を禁止するシステム」  東大理3の話題がネットを飛び交っています。同じ学年の中で100名の 突出した才能を集めるというのは、プロ野球でドラフトにかかるのと同率の エリート集団だとか、入るのにはどうしたいいとか、そういう種類の雑談で すね。お子さんを2名だか3名だか理3に入れた母親がカリスマになってい るという話題も、今でも続いています。  理3に入れそうもないと悲観した高2生が拡大自殺テロに走ったという事 件も、「だから理3はダメ」という印象ではなく、「やっぱり理3すごい」 という印象を広めているようです。時期ということもあるんでしょう。中学 入試など塾産業の「かき入れ時」ですから、塾マネーに汚染された評論家な どが、保護者心理に付け込んで適当な話を撒き散らす季節ということもあり ます。  個人的には、そんなに理3が人気化するのなら、折角なので集めた高偏差 値の集団に、工学部電子情報工学科と理学部情報科学科(どうせならこの2 つ、合併して拡大したらいいと思いますが)への進学も認めるのが面白いと 思います。さすがに、理3に100人もいたら、そのうちの数名は「東大を 頂点とした封建システムである医師会」などという団体に関係した人生より、 もっと違う道があると最初の1年半に気づくかもしれないからです。  もう一つは、高校レベルで選抜するのではなく、大昔のように理3を理2 に戻して、大学の最初の1年半で競争させるのです。そうすれば、少しは医 師の適性や臨床に真のモチベーションを持った人間が医学部に行くようにな るし、もしかしたら基礎研究で大きな業績を上げる人材が出るかもしれませ ん。  とにかく、理3から医学部というのは、あまりに閉鎖的で教育上よろしく ないと思うのです。昨今は、ようやく面接が導入されているので、コイツを 医師にしたら自分も周囲も不幸になるタイプは「ふり落とす」ことが可能に なっていますが、面接官を仕切っているのが事務方で「最低限の客観性を担 保してください」などと妨害していないか、誰かが検証する必要はあると思 います。  ですが、理3の最大の問題はそこではありません。  日本の限られた若い人材の中で、相当にIQの高い集団を、18歳という 高い年齢まで「日本の高校の指導要領の範囲内」で「答えのある問題」を紙 と鉛筆で解くという極めて幼稚な作業に縛り付ける、この点が大きな問題だ と思うのです。  世界のエリート候補はそんなことはやっていません。(続く)

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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