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第152号 オール沖縄の敗因は?/おへそが鳴った日/日脚伸ぶ/アメリカの杉田水脈

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  • 2022/01/26
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「オール沖縄の敗因は?」 1月23日(日)投開票で行なわれた沖縄県の2つの市長選、名護市長選と南城市長選は、どちらも自民、公明推薦の候補が勝ち、玉城デニー沖縄県知事が支援する「オール沖縄」勢が2敗を喫することとなりました。 名護市長選は、自民、公明推薦の現職、渡具知武豊氏(60)が1万9524票、共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦の前市議、岸本洋平氏(49)が1万4439票、5000票以上の大差をつけて現職が2期目の当選を果たしました。 南城市長選も、自民、公明推薦の前職、古謝景春氏(66)が1万3028票、共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦の現職、瑞慶覧長敏氏(63)が1万1339票、1700票近い差をつけて自公推薦の前職が返り咲きを果たしました。前回の市長選では、わずか65票差という僅差で瑞慶覧氏に破れていたので、今回は雪辱を果たしたことになります。 投票率は、名護市長選が68.32%、前回比8.6ポイント減で過去最低、南城市長選が69.12%、前回比2.2ポイント増でした。過去最低とは言え、7割近い投票率は、本土の選挙と比べて「自分の一票でしか暮らしを変えられない」という沖縄の人たちの切実な思いが反映された数字だと思います。そして今回は、そうした有権者の多くが自公推薦の候補へ一票を投じたのです。それは何故でしょうか? 今回は、あたしも注目していた名護市長選にスポットを当てて敗因を分析して行きますが、「オール沖縄」は今回の名護市長選で、ちょうど1年前の2021年1月17日に行なわれた宮古島市長選での「勝利の方程式」を選挙戦略としました。自公推薦の下地敏彦氏が3期目の市長をつとめていた保守派盤石の宮古島市長選で「オール沖縄」が推薦したのは、こちらも保守系無所属の前県議、座喜味一幸氏でした。 複雑な背景を持つ沖縄の選挙では、もはや「革新」というだけでは勝てないと考え、あえて現職と同じ保守系の新人をぶつけたのです。その結果、現職の下地敏彦氏に3000票近い大差をつけて、「オール沖縄」が推薦した座喜味一幸氏が初当選し、玉城デニー県政への追い風となったのです。 選挙は、どうしても「保守対革新」や「保守対リベラル」という図式になりがちです。しかし、それまでずっと自民党を支持して来た有権者が、安倍晋三元首相の数々の政治私物化疑惑に嫌気が差して自民党支持をやめたとしても、すぐに手のひらを返して立憲民主党を支持するでしょうか?これは過去の世論調査でも明らかですが、自民党支持をやめた有権者の多くは、まるで料金の安さだけでケータイ会社を乗り換えるように、日本維新の会や国民民主党などへ乗り換えているのです。 そのため「オール沖縄」は、この「保守派の対立軸」という戦い方を改め、有権者の政治思想に関係なく、地域住民の生活に根ざした選挙戦略を目指しました。それが、玉城デニー知事と足並みを揃えて「新基地建設反対」を前面に押し出した岸本洋平氏の選挙運動でした。しかし、この訴えは、名護市の有権者には響きませんでした。 一方、現職の渡具知武豊氏は、これまで通リ「基地問題」は「県と国の係争を見守る」とする従来の立場を貫き、争点化を避ける戦略を取りました。そして、こちらもこれまで通リ、米軍再編交付金を財源とした「学校給食費、保育料、子ども医療費の無償化」など、1期目の実績の継続を訴えました。岸本洋平氏も、市民に支持されている子育て支援の無償化事業の継続を公約に掲げましたが、渡具知氏のように明確な財源は提示できませんでした。 この違いが、5000票を超える大差をつけての渡具知氏の再選へと繋がったのです。全く同じ公約を掲げても、これまで4年間の実績を担保に財源を明確にした現職と、財源が示せない上に政権とのパイプがない「基地反対派」の新人では、公約実現力に差がありすぎます。 そして、現職の下支えとなったのが、2年間にも及ぶ「終わりの見えない新型コロナ禍」でした。

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