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言いすぎか!!
弁護士北村晴男 本音を語る
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Vol.134
2022.1.30
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目次
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【1】 『「実子誘拐」とハーグ条約
日本は「共同親権」に変えるべき』
【2】 『北村晴男の"素"』
【3】 『番組出演予定
イベント情報』
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【1】 『「実子誘拐」とハーグ条約
日本は「共同親権」に変えるべき』
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「実子誘拐」が起こる日本の現状
池田良子さんが著した『実子誘拐ビジネスの闇』(飛鳥新社)。多くの人が「実子誘拐」、それも「ビジネス」とは何かと不思議に思うでしょう。さらに、日本でも多くの親が実の子の誘拐で逮捕されているという事実に驚く方も多いでしょう。
たとえば、ある日突然、母親が自分の子どもを連れ去って、別居を開始し、父親に会わせないようにする。それが「実子誘拐」であり、裁判で母親が親権を勝ち取るためにDV(ドメスティック・バイオレンス:配偶者や恋人など親密な関係にある者から振るわれる暴力)があったかのように弁護士が導く、それが左翼系の弁護士の資金源になっている、要するに「ビジネス」として成り立っていると本書は主張する。
たとえば母親が浮気をして、自分の子どもを連れて家を出ていく。そして浮気相手の男と一緒に住み始める。一緒に住まなくても実家に帰る。あるいはアパートを借りる。このように、子どもを手元に確保した上で浮気相手との関係を楽しみながら離婚に持ち込み、父親からは財産分与と養育費を取る。あわよくば慰謝料まで取る。
そして、裁判では「DVがあった」と主張する。一般に、世の中にはDV夫がいる。しかし、その夫がDVを行ったかどうかは別問題。離婚事件を多く経験すると、DVなどなくても、「DVがあった」と主張されるケースがたいへん多いように思う。
日本の裁判所は「裁判の時点で子どもと同居している親に親権を与える」ケースがほとんど。たいていの場合は母親が子どもを連れて出ているので、母親が圧倒的に強く、ほとんどの場合、母親が親権を勝ち取る。父親が親権を強く望み、子の成育環境を完璧に整えても、ほぼ親権は取れない。
さらに、子どもに会わせてもらえない。父親は離婚後の子どもとの面会交流でより良い条件を勝ち取るために、泣く泣く払わなくてもいい解決金を払わされたり、本来の相場よりも高い養育費、慰謝料の支払いを承諾してしまう。実務をやっていると、まぁよくある。
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世界の常識は「共同親権」
ほとんどの先進国は、離婚しても親権は「共同親権」だ。
日本の場合は「単独親権」。離婚するには親権をどちらかに決めなければならない。
父親か母親か、どちらかを親権者に決めなければならない。結果、親権争いをする。そして負けた方は、相手の意思次第で事実上子どもと会わせてもらえなくなる。
欧米など、ほとんどの先進国の場合は「共同親権」で、普段養育する者(監護権者)が母親になっても、子は毎週末、父親と会う。欧米のドラマでよく見るシーンだ。毎週末に会えるならば、そこまで監護権にこだわる必要がなく、元夫婦の対立はそこまで深刻にならず、子どもは両親とのきずなを保ちながら成育する。極めて合理的な制度だ。
欧米の場合は、たとえば両親のいずれかが、一緒に住んでいる家から子どもを連れて逃げ出すと、誘拐罪で逮捕されることになる。これがまさに「実子誘拐」である。
だが、日本の場合はまったく異なり、同居しているところから勝手に子どもを連れ去るのは、誘拐罪にならない。いったん別居状態が生じた後に、相手側から取り戻すと誘拐罪になる。
メチャクチャだ。したがって日本の場合は、「最初に子どもを連れ出した者勝ち」となる、とんでもない制度だ。
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