第153号　隣人への愛、隣国への理解／聖バレンチノ司教の憂鬱／ちゃっかり者の正岡子規／変異株の感染力

「隣人への愛、隣国への理解」 あたしは2年前、このメルマガの第48号と第49号で、自分のレイプ体験談を赤裸々に綴りました。今でもバックナンバーで購読できますが、もの凄い反響でした。その時も書きましたが、日本は「レイプ大国」なのです。ただ、レイプ被害に遭った女性のうち、警察に届けるのは4～5％だけで、100人のうち95人は泣き寝入りを余儀なくされているため、実態が表面化しないのです。 それは、警察に届けると、加害者による逆恨みなどで事件を公にされ「あいつはレイプされた女だ」という噂が広まり、学校や職場にいられなくなるからです。これが、被害者がさらに被害を受ける「セカンドレイプ」です。これは日本に限ったことではなく、日本と同じ先進国であるはずの欧米各国も同様です。 「レイプ」という人として最低の凶悪犯罪は、日本でも欧米各国でも「ほぼ日常的」に繰り返されているので、あまり他国のことは言えませんが、中東の一部の国、南米の一部の国、アフリカの一部の国などでは、日本では考えられないような残酷なレイプ事件が繰り返されています。そして、その中でも特に酷いのが、インドなのです。 国家犯罪記録局によると、インドでは女性に対するレイプ事件が年間約3万3000件、1日平均約90件も発生し続けています。しかし、これは警察に通報された件数なので、実際はこの数十倍、年間に数十万件から百万件以上も発生していると見られています。いくら人口が多い国とは言え、これは尋常な数字ではありませんが、その大きな原因の1つが「カースト制度」なのです。 2021年8月1日、「ダリット」と呼ばれるカースト最下層の9歳の少女が水を汲みに行った際、53歳の聖職者ら4人の男に集団レイプされ、殺されました。聖職者は少女の母親を呼び出し「お前の娘は感電事故で死んだ。警察に通報すると娘の遺体は検視され、臓器を取り出されて売られるので、絶対に通報してはいけない」と言って遺体を持ち帰らせました。母親が通報したため、この4人の男は警察に逮捕されましたが、どのような刑を受けようとも、殺された少女は帰って来ませんし、母親の悲しみも消えることはありません。 インドの人口は約13億5000万人ですが、このうち約15％に当たる約2億人がカースト最下層のダリットです。そして、こうした凶悪なレイプ事件の被害者の多くは、このダリットの少女や女性なのです。今回の事件は「殺人」なので警察もすぐに動きましたが、レイプだけの場合は、警察に通報しても加害者が逮捕されないケースが頻繁にあり、逆に被害者が社会的な汚名を着せられてしまいます。そのため、多くの被害者が泣き寝入りをしており、この状況が、さらなる悲劇を生み出しているのです。 インドのレイプ加害者たちは、レイプという犯罪を万引き程度に思っているようで、自分を良く知る隣人の娘をレイプするというケースが多々あります。日本では考えられないことですが、インドでは家族ぐるみの付き合いがある隣人の男から、自分の娘がレイプされたという事件が後を絶ちません。しかし、自分の娘をレイプされた父親は、警察に通報しても無駄だと分かっているので、自分の手で復讐をするのです。 2014年11月6日、インドの首都ニューデリー東部のスラム地区に住む36歳の男は、14歳の娘から「隣人の男にレイプされた」と告げられて激怒しました。男は、長年親戚のように付き合って来た45歳の隣人の男を呼びつけて問い詰め、隣人はレイプを認めました。男は隣人を縛り上げて猿ぐつわをし、真っ赤に焼いた金属製のヘラを隣人の性器に押し付けて拷問し、絞め殺しました。 犯行後、警察に自首した男は、殺害理由を「この国ではレイプ犯の多くが罰せられないが、私は『レイプ犯はその報いから逃れることはできない』というメッセージを伝えたかった」と供述しました。2012年12月、インドのデリーを走行中のバスの車内で、23歳の女子学生が5人の男から集団レイプされて死亡するという考えられない事件が起こりましたが、逮捕されて死刑を言い渡された加害者らが、2年経っても1人も刑が執行されないことに、この男は日頃から憤（いきどお）っていたと言います。 2014年4月、インド北部パンジャブ州で、生後7カ月の女の赤ちゃんが15歳の少年にレイプされるという、こちらも考えられない事件が起こりました。現場を目撃した母親が通報し、少年は矯正施設に送られましたが、2年後の2016年4月、赤ちゃんの父親の25歳の男は、17歳になった少年に示談を提案して外へ連れ出しました。そして、殴る蹴るの暴行を加えてから木縛りつけ、少年の両手を切断したのです。