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米露戦略競争のなかの日本 (その3)

兵頭正俊の優しさ出前
  • 2022/02/04
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■■ 2022/02/04 ■■ 兵頭正俊の優しさ出前 ~3分でマスメディアとは違ったステージに招待します ~ ■■■■■■■■■■■■■■ 内容のレベル:中高級者向け発行人 :兵頭正俊登録解除 はここから1 http://bit.ly/AvYMkY  ━━━━━━━━━━ 米露戦略競争のなかの日本 (その3) ━━━━━━━━━━ 第2に、今後数カ月でウクライナが戦争に直面するかど うかにかかわらず、米欧の同盟国は、自分たちが置かれ ている現在の外交的袋小路をもっと正直に認めなければ ならない。ロシアが地政学的に後退しているわけではな いし、ウクライナに譲歩しそうな気配はない。ウクライ ナでの米ロの影響力争いが続くことは避けられず、当 面、事態は深刻化していくだろう。当然、この対立が制 御不能な事態に陥るリスクを減らすための外交的解決策 を模索しなければならない。 解決の鍵を握るのはウクライナであり、外交的対話でも ウクライナの立場に配慮しなければならない。だが皮肉 にも、外交プロセスに姿がないのは、ウクライナではな くアメリカだ。現状における対立は、米ロ関係を不安定 化させるもっとも重要な要因であり、ワシントンはこれ に正面から取り組む必要がある。ロシアとの戦略的安定 を模索しつつ、一方で紛争リスクを放置するのでは筋が 通らない。だが世界の2大核保有国間の競争が激化して いるだけに、戦略的安定は贅沢でも幻でもない。それは 必要性に他ならない」(『Foreign Affairs Report』 2022 NO.1) (引用終わり) 「ロシアがウクライナとの国境周辺に部隊を動員し、軍 備を増強していること」から導き出せる結論は二つあ る」とマイケル・キメージはいう。以下にかれの考えを まとめて紹介するが、これはあくまでマイケル・キメー ジの思想であって、わたしの考えではない。 (『Foreign Affairs Report』2022 NO.1) 第1の結論 1 ロシアからのメッセージは、強制外交のためのたん なるジェスチャーではないこと。 第2の結論 2 ロシアが地政学的に後退しているわけではないし、 ウクライナに譲歩しそうな気配はないこと。ウクライナ での米ロの影響力争いが続くことは避けられず、当面、 事態は深刻化していく。 3 今年、戦争が起きる危険に備えること。ヨーロッパ の同盟国と事前に対応を調整し、戦争になればどのよう な事態に直面するか、をモスクワに明確に伝えなければ ならない。つまり第三次世界大戦になる。 4 ロシアの攻撃に対して協調対応ができなかったため に、ウクライナは前回大きな痛手を受けた。2014年に ロシアがクリミアを編入した。しかし、ドンバス地方に 侵攻した後も、さらに7月にロシアが支援する分離主義 者が民間旅客機を撃墜するまで、ヨーロッパは制裁に乗 り出さなかった。アメリカは、前回のような破滅的な事 態を今回は回避すべきだ。 アメリカは、大規模な軍事衝突が発生する前に、ヨーロ ッパの同盟国と協力してウクライナの主権を支持するア ウトラインを示すべきだ。そのためには、早い段階で欧 米の決意とレッドラインを詳細に示さなければならな い。 5 11月18日、ビクトリア・ヌーランド国務次官(政 治担当)は、ウクライナの主権と領土保全に対するアメ リカのコミットメントは「揺るぎない(ironclad)」と 表明した。これは精一杯のアメリカの強気、かつての一 極覇権国家ぶりを表現したものであろう。もっとも世界 中が注目しており、国務次官(政治担当)としてはこう 言わざるを得ないのである。 6 「アメリカは行動を起こす必要があるが、ウクライ ナの指導者を誤解させ、提供されることのない支援を期 待させてはならない」。アメリカがウクライナにおける アメリカの軍事的行動を想定していないのなら、そのこ とをウクライナのゼレンスキー大統領に率直に伝えるべ きだ。ウクライナ問題ではゼレンスキーの人格が非常な 重みを持っている。もし三流の政治家で、しかもニヒリ ストであったなら第三次世界大戦は避けようがない。逆 に敬虔な宗教家であり、戦争の悲惨を憎む平和主義者で あったなら、第三次世界大戦は避けられるかもしれな い。 7 解決の鍵を握るのはウクライナである。この分析は かぎりなく不気味である。米露とも核大国であり、かつ ての米ソ対立、冷戦の当事者である。 引こうにも引けない。とくにアメリカだ。凋落の一極覇 権国家である。もし無様に引いたら、なんだウクライナ のゼレンスキーさえ守れなかったじゃないか、となる。 これは日本でさえそうなる。本当にアメリカは中国から 日本を守ってくれるのか。莫大な米軍の駐留費用は払う 価値があるのか。危険なのはアメリカには退路がないの だ。 すでにアメリカの退路は断たれている。しかし、ロシア の退路もだ。

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