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高野孟のTHE JOURNAL Vol.536 2022.2.7
※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《INSIDER No.1137》
岸田政治の退屈の陰で安倍の右翼ぶりっ子の悪足掻き/
複雑化する自民党内のモザイク模様の軋み
【2】《CONFAB No.538》
閑中忙話(1月30日~2月5日)
【3】《FLASH No.446》
今の日本には2種類の「元首相」が存在している/日刊
ゲンダイ2月3日付「永田町の裏を読む」から転載
■■ INSIDER No.1137 2022/02/07 ■■■■■■■■■
岸田政治の退屈の陰で安倍の右翼ぶりっ子の悪足掻き/
複雑化する自民党内のモザイク模様の軋み
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国会は開かれているのを忘れてしまうほどの静けさ
で、それはひたすら低姿勢に徹する岸田文雄首相の低空
飛行路線と、それを掻き乱す方策を持たない立憲民主党
はじめ野党のだらしなさに起因するところが大きい。と
はいえ、水面下での与党内の、ポスト岸田への思惑と路
線問題とが絡んだ「暗闘」とも言うべき駆け引きはむし
ろ激しさを増しており、それは(1) 岸田・林・茂木の
「新角福連携」vs安倍・高市の「右翼ぶりっ子連盟」、
(2) それを睨んだ二階を中心とする菅義偉・石破・森山
ら「中間派」の動き、(3) 自公連立のヒビ割れーーの3
つの次元で進行している。
●林を忌み嫌う安倍の悪足掻き
安倍晋三元首相の林芳正外相への反感は、ほとんど恐
怖に近いもので、それは中選挙区時代の旧山口1区での
安倍晋太郎元外相と林義郎元蔵相との確執に由来する。
晋太郎は1958年初当選、67年に3回目当選を果たして以
後は9回連続でトップ当選を続け、まさに「安倍王国」
を築き、それを93年に晋三に受け渡した。その間、ほぼ
常に2番手につけていた宿敵が林義郎で、93年を最後に
小選挙区制が導入されて旧1区が新4区に再編された際
に林が比例単独候補に転出、03年に引退。息子の芳正は
95年以後、参院からの立候補を余儀なくされてきた。昨
秋の衆院選で山口3区で河村建夫元官房長官を押し退け
る格好で衆議院初当選、たちまち外相に任命された。
同じ山口4区と言っても、安倍家は日本海に面した人
口3万余の長門市(という名の寒村=旧日置村)の出で
あるのに対し、林家は瀬戸内海に面した県下最大の大都
会=下関市が地盤で、宇部興産創業者にも直結する家
柄。東京生まれ・東京育ちのボンボンという以外に見る
べきキャリアのない晋三に対して、芳正は東大法から米
ハーバード大ケネディスクール修了、三井物産、父=蔵
相の秘書官という申し分のない歩み。晋太郎はもちろん
岸信介~福田赳夫の親台湾派「清和会」の系統であるの
に対し、父は田中派から宮澤派を経た親中国派で、日中
友好議連会長、日中友好会館会長も務めた……という具
合に、何から何まで対照的。すでに農水、文科など閣僚
経験も積んできている芳正がこのままポスト岸田のホー
プとして躍り出ることになれば、次期衆院選での山口県
での1区減による選挙区事情の変動とも絡んで、「安倍
家存続の危機」が現出することすらありうる。
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