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第154号 アサリの産地偽装は氷山の一角/食品偽装大国ニッポン/二つの机の物語/父さんは大笑い!母さんは大慌て!

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  • 2022/02/09
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「アサリの産地偽装は氷山の一角」 「熊本県産として全国のスーパーなどで販売されていたアサリの大半が中国産や韓国産などの外国産だった」という産地偽装のニュースで大騒ぎしている人たちを見て、あたしは「えっ!何を今さら?」と思ってしまいました。中国産、韓国産、中国経由の北朝鮮産などのアサリを国産と偽って出荷する産地偽装は、これまで何度も発覚して来たからです。 現在の日本のアサリの年間流通量は4万~8万トンですが、国産アサリの年間漁獲量は3500~4500トンしかありません。ようするに、日本に流通しているアサリの9割は外国産なのです。それなのに、スーパーなどの店頭で目にするアサリは、どれも国産表示のものばかりです。これって、普通に考えれば、国産表示のアサリの多くが産地偽装であると容易に想像できるはずです。 昔から『きっこのブログ』を読んでいた人は覚えているかもしれませんが、あたしは10年前、2012年9月下旬、母さんと大分県の別府温泉へ旅行し、その時のことを数々の画像とともに「温泉どうでしょう」というシリーズで発表しました。その旅行の中で、あたしは、日本最大の地熱発電所である九州電力の「八丁原(はっちょうばる)発電所」を見学しました。 これはブログには書いていませんが、その時、お隣りの熊本県から車で見学に来ていた、あたしと同世代のご夫婦と知り合い、日本の原発政策に関する考え方などで意気投合し、仲良くなりました。連絡先を交換して別れ、その後、定期的にメールや電話で近況報告などをしていました。すると、翌年の春、熊本県産の美味しいアサリが手に入ったからと、クール便でたくさん送ってくださったのです。 まずは砂抜きして「酒蒸し」でいただいたのですが、本物の熊本県産のアサリは、大粒でプリプリで味がしっかりしていて、それまでに食べたアサリの中で、ダントツの1位でした。そして、その時に同封されていた手紙に書かれていたのが、次の内容でした。 「きっこさん、そちらのスーパーなどでも熊本県産と表示されたアサリを見かけることがあると思いますが、ほぼ100%、それは産地偽装の中国産か中国経由の北朝鮮産ですから、絶対に買わないでください。今回お送りしたアサリを食べれば分かると思いますが、本物の熊本県産はとても美味しいです。しかし、本物はとても漁獲量が少ないので、ほとんどは浜売りと言って地元で消費されているのです」 国産アサリの全国の年間漁獲量は、1980年代半ばまでは11~16万トンで推移しており、国内消費量の大半を国産アサリが占めていました。当時は「安くて美味しくて栄養価の高い食材」として、現在の倍以上も消費されていました。しかし、その後は乱獲や埋め立てや海洋汚染の影響などで減少し続け、1987年には10万トンを割り、1994年には5万トン以下まで急減しました。そして現在は、さらに減少して3500~4500トンとなってしまったのです。 この減少した分を中国産などの輸入アサリで補って来たのですが、2005年には流通量の約半分が輸入アサリとなり、現在では国産1割、輸入9割となってしまいました。 熊本県産だけを見ると、1970年代までは年間6万トンを超え、全国の漁獲量の4割を占めていました。しかし、1970年代後半からコンクリートの材料として川底の砂が大量に採取され始めたことで、川から運ばれて海岸や干潟に堆積する砂が急減し、1980年代からアサリの漁獲量が加速度的に減少し始めたのです。そして、昨年2020年は、とうとう「わずか21トン」となってしまいました。6万トンが21トンですから、250分の1です。 それでも、全国のスーパーなどに熊本県産のアサリが並び続けて来たのは、中国などから輸入したアサリをいったん熊本県の漁場へ撒き、一定期間を経て回収すれば「熊本県産として出荷できる」という食品表示法上のルールがあったからです。輸入したアサリを国内の養殖場や漁場で育てることを「蓄養(ちくよう)」と言いますが、これは合法です。そして、原産国より日本での蓄養期間が長くなれば、それは国産として出荷できることになっているのです。 アサリの生育期間は1年半なので、輸入したアサリでも熊本県の漁場で1年ほど蓄養すれば、熊本県産として出荷することができます。熊本県の漁民らの組合も、当初はそうしていたと言います。しかし、加速度的に減少し続ける漁獲量に対して、1年も蓄養していては間に合わなくなり、1年が半年、半年が3カ月、3カ月が1カ月と、蓄養期間が短くなり続けて来たのです。

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