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週刊 Life is Beautiful 2022年2月22日号:NFTゲームのビジネスモデル

週刊 Life is beautiful
今週のざっくばらん NFTゲームのビジネスモデル(メルマガ限定) このメルマガでは、NFT を活用した ”Play to Earn” (遊んで稼ぐ)ゲームの代表でもある Axie Infinity について何度か触れて来ましたが、Axie に続いて、最近話題の “Move to Earn” (運動して稼ぐ)ゲームの STEPN について調べてみたところ、興味深い共通点が見えて来ました。 特に重要な点は、彼らが「どうやってお金を稼いでいるか」というビジネスモデルの部分です。そこで今回は、運営側の立場に立って、NFTゲームのビジネスモデルを解説してみたいと思います。 以前にも指摘したように、Axie Infinity のビジネスモデルは、全体で見れば「Axie でお金を儲けよう」と考える人(投資家)のお金が流れ込み、その一部が「お金を注ぎ込む」投資家と「時間を費やす」プレーヤー(両方を兼ねる人もたくさんいます)に還元されるという、マイナスサムゲーム(=ゼロサムゲームよりも期待値が低い投資)です。そのため、投資家だけを見ればポンジースキームであるとも言えるし、プレーヤーを含めて考えれば、パチンコと同様のビジネスモデルです。 そんな「投資効率の悪い投資」であるにも関わらず、これらのアプリが大量のユーザーを集め(AxieやSTEPNで生活費を稼ぐために仕事をやめてしまった人すらいます)、Sequoiaのような超一流のVCからお金を集めることに成功しているには、それなりの理由があるのです。 結論から先に言えば、NFTゲームのビジネスモデルは、NFTブームWeb3 に対する人々の期待と誤解規制当局の目が十分に届かない暗号通貨市場広がり続ける貧富の差と情報格差 を最大限に活用した、「ガチャ」に続く新たな「搾取ビジネス」なのです。そのエグさは、パチンコやガチャをしのぐほどのもので、上手に運営すれば、巨万の富を築くことが可能です。だからこそ、数多くのベンチャー企業が参入しているし、VCのお金が彼らに流れ込んでいるのです。 この手のビジネスを成功させる上で重要なのは、以下の5点です。Discord などを活用したコミュニティ作り魅力的なアプリケーション「独自暗号通貨の発行」を使った錬金術参入障壁を下げ、「投資」を可能にするスカラーシップシステム コミュニティ Discord などのツールを使ったコミュニティの構築は、NFTゲームにおいては、とても重要な役割を果たします。もっともらしいホワイトペーパーを書き、デザイナーを雇ってNFT用のアートを作ります。創業者が、何をやろうとしているかを熱く語ることも重要です。NFTの売り出し前に、少なくとも数千人の「NFTの売り出しを首を長くして待つ人たち」を作ることが、このビジネスの成功の鍵を握ります。 アプリケーション NFTゲームにおいては、アプリケーションはとても重要な役割を果たします。アプリを走らせる人たちの本当の目的がたとえ「稼ぐこと」であるとしても、ここで手を抜いてはいけません。十分な開発費をかけて、ちゃんと「遊んで楽しい」ゲームを作らなければいけません。 Axie Inifinity は「遊んで稼ぐゲーム」で、STEPN は「歩いて稼ぐアプリ」と、表向きは大きく異なるアプリですが、需要な共通点が4つあります。特定のNFTを持っていないと遊べない(他人からNFTを借りて遊ぶことは可能)遊ぶことによってアプリコインが稼げるそのアプリコインは、仮想通貨の取引所で売買(現金化)が可能そのアプリコインで、新たなNFTを入手したり、NFTを強化出来る このビジネスの収益源はこのNFTの販売です。通常のゲームであれば、高々数千円しかチャージできませんが、NFTゲームの場合、「遊ぶとお金が稼げる」という魅力がある上に、「NFTは市場で得ることが出来る」ため、消費者は喜んで数万円を支払います。 ちなみに、NFTの祖利益率は100%です。「遊ぶ人に支払うお金が必要なのでは?」と思う人もいるでしょうが、心配はいりません。そこには、後述する「仮想通貨の発行」という錬金術が使えるからです。 「独自暗号通貨の発行」を使った錬金術 プレーヤーに対する「還元」は、ゲーム内の独自のコイン(以下、「アプリコイン」と呼びます)として渡します。ここで大切なことは、その際に、現金はもちろんのこと、Ethereum などの一般的な暗号通貨をプレーヤーに渡さないことです。それをしてしまうと、この事業は儲からず、破綻してしまいます。 アプリコインは、アプリの運営者が自由に発行(ミント)出来る、独自の暗号通貨でなければなりません。自由に発行出来るので、「元手」は不要です。ゲーム運営会社によるアプリコインの発行は、中央銀行による紙幣の印刷に相当すると考えてください。これがまさに上で述べた「錬金術」なのです。 単に独自に発行したアプリコインを渡しただけでは、ユーザーは喜びません。ユーザーが換金出来るように、暗号通貨の交換所に上場させる必要があります。それによって初めて、”Play to Earn” (遊んで稼ぐ)ゲームと呼べるのです。 しかし、独自のアプリコインを発行して、取引所に上場しただけでは、ニーズがないため、値段がつかず、ユーザーにとっての魅力的な「報酬」にはなりません。そこで、アプリコインに「価値」を与えるために、ゲーム内で、アプリコインを使って新たなNFTを作り出す(Axie 上ではブリーディングと呼ばれています)もしくは、NFTを強化する(より多くのアプリコインが稼ぐように改良する)などにより有効に使えるようにする必要があります。

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