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ビジ選☆リーダーズ Vol.939『自己肯定感ハラスメント』(辻秀一)

ビジネス選書&サマリーリーダーズ
■自己肯定感ハラスメント 「自己を肯定する」といえば聞こえがいい。だが、そのせいで「肯定 しなければならない」「否定はダメなのだ」という概念に支配されて しまうとしたら問題だ。 本来は「自己のすべてを受け入れて、自分らしく生きよう」という意 味かもしれないが、そのせいで肯定するために比較したり、ポジティ ブなことを探したり、いい意味付けをしなければならなくなっている。 その典型的な言葉が「自己肯定感を高めるために成功体験を積め」と いうものだ。そもそも肯定感だから、高めたり上げたりしなければな らない。根幹には、高低の概念が存在しているのだ。 自己肯定感を高めるために、まず「それは高いのか、低いのか」「そ れは肯定するに値するものなのか」などを判断するために、周りや社 会と比較し続けなければならなくなるのだ。 ★ 自己肯定感の妄想が激しくなれば、ハラスメントやいじめ、誹謗中傷 やヘイト主義さえ生み出す。「自己を肯定しよう」という考えは、他 者への否定によって満たされるというリスクがあるからだ。 肯定至上主義は、強者と弱者、メジャーとマイナー、正義と不義など の対立構造を生み出す。上司がパワハラをするのは、自分の肯定感を 維持したり、高めたりするために、地位への肯定感がそうさせるのだ。 強者は弱者を支配して、メジャーはマイナーを乗っ取ることで、正義 は不義を否定して、自己肯定感を満たそうとする。その執着が、否定 の世の中を生み、自己劣等感を多々生み出しているのだ。 ★ いつまでも満たされない承認欲求、他者依存による不安定な自己肯定 感、無理な自己顕示欲といったアリ地獄から抜け出す考えこそが、 「自己存在感」だ。 自己存在に目を向ける考えは、他者に依存する必要がない。他者に承 認してもらうことに頼る必要もない。自分を大きく見せるよう自己顕 示する必要もない。 自分の「今ある」を見つけて、それをエネルギーの源泉として生きて いけるからだ。自分の「ある」を見つけるのは簡単だ。すでに「あ る」からだ。それを評価して肯定や価値を作り出す必要はない。 難しく思えるのは、今まで認知的に進化・教育されてきたからだ。何 事も外界に向けて脳が働くのだ。そのため「自分の内面に“ある”を 見つめる脳力」が低下しているのだ。 だから、視点を変えることだ。少し変えるだけで、誰でもできるよう になる。自分探しの旅などに出かける必要はない。「ないもの探し」 でなく「あるもの見つけ」をすればいいのだ。 ★ まず自分の“ある”を見てみることだ。自分の“ある”を見て、知っ て、感じて生きれば、心も人生も豊かになってくるはずだ。人は、命 のまわりに様々なものを身にまとって生きるようになる。 まず名前、苗字、性別、肌の色、顔立ち、生まれた時の体重、生まれ た家の環境、その後の教育、性格、容姿、学歴、収入、職業などだ。 これらは皆、評価や肯定・否定の対象になる。 自分の身に着けている、自分の外にあるものを全部肯定することはで きない。だから「肯定」という認知的視点を離れる。そして「存在」 という誰でもが持つ視点で自分見るべきだ。 「自分を見る」とは「自分さえ良ければいい」という自己中心的なも のではない。自分を大事にすることだ。自分を見つめ、知ることだ。 そうすれば、自分の存在に気づき、自己存在感の芽が育まれる。 認知脳の暴走から離れて、自分らしく自己存在感に従って、自然体に 生きることだ。そのためには「ありのまま」の自分を受け入れること だ。これこそが非認知的な思考なのだ。 そして自分を信じることだ。評価など一切せず、ただ自分を信じるの だ。それが自己存在感を生み出して、自分の心を整えることになり、 結果が出る確率を高めるのだ。

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