━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
高野孟のTHE JOURNAL Vol.539 2022.3.7
※毎週月曜日発行
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
《目次》
【1】《FROM THE EDITOR》
闘病近況報告2(高野 孟)
【2】《INSIDER+ No.3》
ウクライナ戦争は中国の存在感を高め第二次大戦後の国
際秩序を一新するか?(田中良紹)
【3】《INTERVIEW No.1》
檻を知らない「幸せな豚」をお客様に届けたい
──株式会社エルパソ代表 平林英明さんに聞く
(平井明日菜)
■■ INSIDER+ No.3 2022/03/07 ■■■■■■■■
ウクライナ戦争は中国の存在感を高め第二次大戦後の国
際秩序を一新するか?
(政治ジャーナリスト・田中良紹)
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
ロシア軍のウクライナ侵攻は国際社会のごうごうたる
非難を浴びている。それはロシアのプーチン大統領が第
二次世界大戦後に作られた国際連合を中心とする国際秩
序を無視し、国連憲章に違反する行為を堂々と行ったか
らだ。
従って今やプーチンは国際社会すべてを敵に回した極
悪非道の人間と見られ、特に西側メディアでは連日非難
の言葉が投げつけられている。ではプーチンは現代のヒ
トラーとも言うべき狂人なのか。
私はプーチンの行動を支持するものではないが、しか
し第二次大戦後に作られた国際秩序が果たして永遠に正
しいのか、その国際秩序に歪みが生じてきていないのか
を考えると、必ずしもそれが永続するとは思っていな
い。
ウクライナ戦争は限定的な核使用の可能性があり、ま
た世界経済を混乱の極みに陥らせ、脱炭素の気候変動問
題など吹き飛んでしまいかねないので、1日も早く終わ
ってほしいが、しかしこれは第二次大戦後に作られた米
ソによる44年間の二極対立と、その後の米国による30年
間の一極支配が限界に達し、次の国際秩序を求める調整
過程の始まりと見ることもできる。
プーチンの頭の中にそれがあるかどうかは分からな
い。しかし冷戦が終わる直前から米国議会の議論を見て
きた私の経験に照らせば、ついに来るべきものが来たと
いう気がしなくもない。
つまり米ソ二極による「自由主義対共産主義」のイデ
オロギー対立が終わり、米国が唯一の超大国として米国
の価値観で世界を統一しようとしたことが、世界各地に
民族主義を台頭させ、ハンチントン教授の言う「文明の
衝突」を生みだした。
■米国の「正義」を広めようとしたクリントン
それに対応するため1993年に誕生したクリントン
政権は、「世界の警察官」として米国の利害とは関係な
いソマリア内戦やコソボ内戦にも米軍を投入し、新型兵
器を駆使して米国の考える「正義」を世界に広めようと
した。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)