■幸福感の正体
誰もが幸福になりたいと考えている。そして、ある程度は幸福だと感
じている。世界各地に住む10万人もの人々に調査を行った結果わかっ
たことなので間違いない。
幸福は、心臓の鼓動や血圧、コルチゾールレベルや脳波、ドーパミン、
セロトニンなどの神経伝達物質、そしてテストステロンやアドレナリ
ンなどホルモン、風邪からの回復力などに作用する。
さらに、幸福は、考え方、感じ方、気分や行動に関係するすべてと関
係がある。幸福なら、創造性が高まり、恋愛、スポーツ、学業、キャ
リア、裁判での勝敗にも影響することが、研究で立証されている。
幸福であれば、何事も人よりうまくいくのだ。さらに長生きもできる。
幸せは、タバコと同じくらい、人間の寿命に大きな影響を与えること
が、研究の結果わかってきたのだ。
★
自分がどのくらい幸福かどうかは、ほとんど運で決まる。なぜなら、
遺伝子で決まるからだ。それは抽選のようなものだ。生まれたから決
まっているからだ。
研究によると、幸福度の約50%は遺伝子で決まるという。幸福の研
究者たちが、同じ遺伝子を持つ一卵性双生児の幸福度を計測した結果、
この結論に達したのだ。
具体的な調査方法は、あらゆる一卵性の双子約6万組に同じ質問をし
た。その結果、二人がどれだけ別々の人生を送ろうと、幸福度には、
平均約40%、同じ遺伝子が関わっていたことがわかった。
彼らの根本的な幸福感、すなわち朝目覚めたばかりで、頭が回転せず、
一日の活動がはじまる前に感じる幸福感を計測したところ、一致率は
さらに高く80%だった。これらの結果を総合すると約50%になる。
★
どの遺伝子が幸福度に影響を与えるかは、研究者の間で意見が割れる。
わかっていることは、誰もがある遺伝子を生来もらい受けていること
だ。そして、この先もそれを携えて生きていくということだ。
つまり、幸福とは、その人独自のものなのだ。双子の兄弟姉妹がいる
人なら、もう1人も同じ遺伝子を持っている。つまり、幸福の半分は
ふたりで共有しているのだ。
他の人と同じ方法や同じレベルで幸福になることはできない。つまり、
自分の幸福を他人と比較することはできないし、他人を物差しにする
こともできないのだ。
★
自分の遺伝子は選べない。だから、せめて幸せな子どもが欲しいなら、
幸福な結婚相手を選ぶことだ。特に、父親が重要だ。遺伝子工学研究
者によると幸福度は60対40の割合で男性で決まるという。
子どもを作る時は、パートナーができるだけ幸福であるように努力す
べきだ。スペインの研究者チームは、両親の機嫌が卵子や精子に反映
されると主張する論文を発表した。
これは生物学的関係に限られるわけではない。血縁のない家族、同性
カップルによって築かれた家族であっても、親子が連絡を取り合う限
り、親の幸福感が子に伝染することがわかっている。
さらに親の振る舞いを見て、子どもがそれを模範として真似する。こ
うして、親は子の幸福感に影響を与え続けるのだ。研究者は、親が家
族の絆を通して子の幸福の25%に影響を与えていると結論を出した。
もちろん、遺伝子の作用とは別に、自分で誰と家族関係を結ぶのか、
誰と信頼関係を結んだり、幸福感を分け合ったりし、誰を自分の模範
にするかは選択できる。
メンターを見つけるもの一つの方法だ。沖縄では、住民が相互に親の
役割を務め「模合」と呼ばれる風習がある。沖縄の人が長寿なのは、
この制度の安心感のおかげだと研究者は述べている。
いずれにしろ、親たちは家族のきずなを通して、子どもの幸福に大き
な影響を与えている。それは25%に及ぶ。もちろん、他にも幸福に影
響を及ぼすものは色々ある。そのことも知っておくべきだ。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)