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/ 2022年3月11日発行 /Vol.506(2/2)
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「人生に座右の銘はいらない」
読者からの相談や質問に松尾スズキが独自の視点でお答えします!
Q.私は若いころ多趣味で、夏も冬もスポーツをやり、読者や映画鑑賞を楽しんでいました。ところが50歳を過ぎてから、あらゆることに興味が持てなくなってしまいました。もうすぐ定年で、そのあと、なにをして過ごせばいいのかわかりません。松尾さんは定年のないお仕事ですが、リタイアやセミリタイアしたあとの生活イメージはできていらっしゃいますか? やっぱり、生涯現役でしょうか?(52歳、男性、会社員)
A.一時間と机に座っていられない腰痛と戦いながらの執筆ゆえ、今回は回答がシンプルになってしまうことをお詫びします。
イメージ、できています。多分、たまに演出の仕事をする以外は、小説か絵を描いて暮らしているんじゃないかしら、と思っています。都心は家賃が高いので引越すでしょう。ここ数年のコロナ禍で、なにかしら体の芯が疲弊し、いろいろ物思うのです。でも、コロナが去ったら、あっさり気が変わり、死ぬまで演劇にしがみついてやろうと考えたりする可能性も大きいです。なにしろ気が変わりやすい男です。
Q.松尾さんは、芸術監督になったことで、会議に参加されることも増えていると思うのでお伺いします。なんとなく会議の終了時間が見えてきたところで、「いまさらこれ言ったら、ひんしゅくかな?」といった疑問や質問、そこそこ建設的な意見だとは感じていても言えずに飲み込むことがあります。ZOOM会議になって、余計に言いにくくなった気もします。会社の利益のためには、よくないこととは思うのですが、みんなのモチベーションを下げるのもよくないし……。あと、松尾さんにとって、やりやすい会議とそうでない会議ってありますか?(30歳、女性、会社員)
A.議題の口火を切るのが誰だかはっきりしないタイプの会議はやりづらいです。会議を設定した人が決めてろよ、と私は思うのです。どう考えても話は終わったはずなのに、「それでは、今日は、これまでですかね」の一言が出ない会議も、なんだろうなと思います。わたしは、よく「じゃあ、そんな感じですかね?」と終わりのほうで言っている気がします。なんだか、いやです。早く会議を切り上げたい人感を引き受けている感じで、すべての画面が消えたあと「なんだかなあ」と、つぶやいてしまうのです。まあ実際、最後のほうでは「切り上げたい」と、ひしひしと思っているから間違いではないのですが、いい加減その気持ちすら察して、「じゃあ、そんな感じですかね」を引き受けてくれる後輩がいてもいいんじゃないの、と思うのです。モチベーションを下げそうな話には「モチベーションが下がるかも知れないけど」と前置きすれば、空気はちゃんと読めていると判断されると思うので大丈夫かと。
Q.何年も前に別れた元カノのインスタやツイッターを、ついついチェックしてしまいます。もう新しい彼女と付き合っているのに、元カノとは同棲していたこともあり思い出が多く、懐かしい気分で覗いてしまいます。自分でも未練がましいとは思うのですが、こういうのって、やっぱりよくないことでしょうか?(26歳、男性、会社員)
A.別にいいんじゃないでしょうか。人間、心の中は自由です。スマホはあなたの心の中です。ちなみに、わたしは元カノのSNSにいっさい興味を持たないようにしています。というか、なぜか元カノにインスタをやっているような女性が皆無なのです。インスタを眺めるだけのアカウントを持っているのですが、まったく見かけません。電話番号関連で、どうでもいい知り合い(と言っちゃなんですが)のインスタがおすすめに上がってきたりするのですが、その中にも皆無です。有名人でも、そうでない人もです。不思議です。みんな死んだのでしょうか。そんなはずは、ないと思いますが。
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