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喘息が良くならない人

ドクター畑地の診察室
ドクター畑地の診察室131.2022.3.13. 現役呼吸器内科、総合内科専門医 畑地治です。 世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います!おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者(肺癌、喘息、COPD、肺炎など)を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説&ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信! https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 現在、松阪市民病院統括副院長兼呼吸器センター長 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php *********************************** 喘息が良くならない人 私も幼い頃、小児喘息があり入退院を繰り返していました。最後に喘息発作が起こったのは小学校5年生の頃ですか、中学生になっても修学旅行などで環境が変わると喘息症状が出そうになることがありました。高校に入り喘息は完全に消失し、幸いなことに現在に至るまで喘息発作は起こっていません。一般的に小児喘息は半数の人が大人になると消失します。ただ、歳をとるにつれ、その小児喘息が再発したり、今まで喘息が全くなかった人でも喘息症状が出現する人がいます。 この喘息治療ですが、昔と比べると隔世の感があります。吸入ステロイドを中心とした吸入薬が使われるようになるにつれ、昔のように気管支拡張剤の点滴や貼付薬で治療しなくても済むようになり、また効果も別次元にあらわれ、多くの喘息患者さんの苦しみが少なくなった事は事実です。 喘息の治療は吸入ステロイドだけではなく、β刺激薬という気管支拡張剤が入った吸入ステロイドとの合剤が使用されることが一般的であり、吸入ステロイド単独で使用するよりも効果があることが知られています。最近になり気管支拡張剤にはβ刺激薬だけではなく、抗コリン剤といわれる気管支拡張剤も使用されるようになり、“β刺激薬”“抗コリン剤”“吸入ステロイド”3つが一緒になった吸入薬が上市され、さらに効果的な治療ができるようになりました。しかしこの効果的な吸入薬を使用してもうまくコントロールできない喘息患者さんは、全体の20%程度残っていると言われているのが現状です。 一般的に高血圧や高脂血症などの内服薬は、処方さえすれば90%以上内服してくれると言われています。糖尿病の薬になると少し下がり、80%程度の内服率と言われています。いったい吸入薬はどうなのでしょうか。患者さんに吸入薬を処方しても吸入薬の遵守率は約60%と言われ、きっちりと吸入できている患者さんは意外に少ないのが事実です。 吸入薬を処方してもうまく喘息がコントロールできない患者さんの中で、正しい吸入手技で毎日きっちり吸入できている患者さんは少ないことが知られており、吸入薬を使用しても喘息がコントロールできない人は100人のうち3人程度であると言われています。 “喘息がうまくコントロールできない”と感じている患者さんは、医師に処方された吸入薬を本当にきっちり使用しているのかどうなのか、忘れがちではないか、あるいは吸入手技が正しいのかどうなのかと言うことを見直す必要があります。

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