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不都合な真実

ドクター畑地の診察室
ドクター畑地の診察室132.2022.3.20. 現役呼吸器内科、総合内科専門医 畑地治です。 世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います!おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者(肺癌、喘息、COPD、肺炎など)を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説&ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信! https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 現在、松阪市民病院統括副院長兼呼吸器センター長 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php *********************************** 不都合な真実 昔、クリントン大統領時代に副大統領だったアル・ゴアが“不都合な真実”というタイトルで環境問題に警告を鳴らしてノーベル平和賞を受賞したことは記憶に新しいです。さて、このCOVID-19パンデミック中の日本でも“不都合な真実”がある気がするので、今回は幾つか記載したいと思います。 まず、蔓延防止法についてですが、今回は以前とは違い感染者が完全に減少しないまま解除になりましたが、果たして意味があったのかどうか甚だ疑問です。初期頃は確かに所謂“夜の街”を介して伝播したことは疑いのない真実ですし、飲食店を時短営業にすることで一定の効果がありました。しかし、今回の流行ではあまり効果は無かったのかも知れません。今回の流行の中心地は小児からの感染です。学校で感染したCOVID-19を家庭内に持ち込み、親が感染するケースが多くみられました。より“風邪ひき”に近づいたと言えるのではないでしょうか。COVID-19の毒性を数ヶ月で見極め、例えば“デルタ株”の時には2類感染症扱い、“オミクロン株”の時には5類感染症扱いにと、リアルタイムで変更していくようなことができれば良いのですが、なかなか難しいかも知れません。 蔓延防止法の中、休業補償金をもらって休んでいる飲食店が多のですが、本来、利益をそんなに上げていなくて税金を払っていないような飲食店まで補償金をもらっているのはどうかと思います。その反面、飲食店街の駐車場はガラガラになりましたが、経営者にはなんの補償もありません。補償金や給付金は“国民一律に出す”または“全く出さない”かが公平です。飲食店を経営する以上、色々なリスクはつきものです。そのリスクに備えるのは個人の役割であり、政府の役割ではないと思います。 医療従事者に対してもCOVID-19診療に従事する医療従事者には、一律政府からの給付金がありましたし、勤務先からの金銭的配慮もあった人が多かったと思います。ただ、このCOVID-19パンデミックで1番大変だったのは、保健所を中心とする行政の担当者だったのではないでしょうか。激務にも関わらず、彼らには超過勤務手当以外なんの上乗せもありませんでした。身内になるとはいえ、もう少し行政担当者にも配慮が必要なのではないかと思います。 最後に、先日政府のCOVID諮問委員会のメンバーがCOVID-19感染者となり、人工呼吸器管理され回復された後のインタビューをみて驚きました。なんと、その人はあれだけワクチン接種を政府が勧奨しているにも関わらず、諮問委員会のメンバーにも関わらず、ワクチン接種していなかったと言うのです。理由は“アレルギー体質だから”といっていましたが、どのようなアレルギーでワクチンが接種できないのか、甚だ疑問です。少なくとも私自身、毎月数万円かけてアレルギーを根本からブロックするような注射接種しなければいけないほどのアレルギー体質であり、薬物アレルギーで救急搬送されたこともありますが、ワクチンはしっかり接種しました。 私が認識する限り、初回接種の際によほど重篤な副作用がない限り、COVID-19ワクチンは接種可能ですし、アレルギー体質の人も大勢私の外来に通院していますが、全く問題なく接種できています。何万分かに1人の可能性では、命に関わる副作用も出る可能性はあります。しかし、アレルギー体質という理由で接種しないことはダメです。“一般人ならまだしも、諮問委員会のメンバーがそれをしたらダメだろう”と思いました。 COVID-19パンデミックが長期に及び、色々不都合な真実が出てきています。一刻も早くCOVID-19パンデミックが終了するよう願っています。

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