最近の日本の報道のヒステリー性にはどうも耐え難くなってきまして、
ここ数日は、ネットでも日本のニュースは見なくなりました。
この話の根幹は、ロシアが悪いとかウクライナが悪いとか、
そういうほうの話ではなく、それは実際にはわからないわけですが、
「メディアから提示された内容が全部そのまま世論となる」
という方向が全世界で繰り広げられていて、
下手すると、コロナワクチンの時よりひどい気がします。
たとえば、ワクチン接種キャンペーンは全世界であれだけ喧伝されたわけですが、
日本や韓国のような8割、9割が接種したというような国もありますけれど、
最も強力なワクチン推進運動(メディアを買収してまで)
をしたアメリカでさえ、二回のワクチン接種率は65%で止まったままです。
https://bit.ly/3JojTLM
しかし、今回のロシアとウクライナの報道に関しては、
どちらがどうとは言わないですが、
その「偏り」はこのワクチンの時より大きいのではないですかね。
パンデミックでのロックダウンからマスク、コロナワクチン、
そして、現在のウクライナの話まで、一貫しているのは「扇動」で、
ブログなどでも何度か取り上げたことがありますが、
作家の山本七平さんが、50年以上前に書かれた、
「扇動のメカニズム」
が、まったくそのまま当てはまっています。
山本七平『ある異常体験者の偏見』(1973年)より
> 原則は非常に簡単で、まず一種の集団ヒステリーを起こさせ、
> そのヒステリーで人びとを盲目にさせ、同時にそのヒステリーから生ずるエネルギーが、
> ある対象に向かうように誘導するのである。
> これがいわば基本的な原則である。
>
> ということは、まず集団ヒステリーを起こす必要があるわけで、
> 従ってこのヒステリーを自由自在に起こさせる方法が、その方法論である。
そして、しばらく後に、以下のように続きます。
山本七平『ある異常体験者の偏見』(1973年)より
> 扇動された者はあくまでも自分の意志で動いているつもりだから、
> 「扇動されたな」という危惧を群衆が少しでも抱けば、
> その熱気が一気にさめてしまうので、扇動者は姿を見せていてはならないからである……
>
> ……扇動された者をいくら見ても、扇動者は見つからないし、
> 「扇動する側の論理」もわからないし、扇動の実体もつかめないのである。
>
> 扇動された者は騒々しいが、扇動の実体とはこれと全く逆で、実に静なる理論なのである。
これを読んだのは、十代の半ばでしたが、
それ以来、このことを「軸」にして考えると、私の生きた五十数年間というのは、
ここに書かれてあるのと同じ方法論が繰り返し行われていたことがわかります。
あるいは、私が若い時から、大変な社会的事態が起きたと報道されても、
わりと気楽に生きてこられたのも、
十代の時に、山本七平さんのこれらの本を読んだお陰かもしれません。
山本七平さんのこの部分を最近引用したのは以下の記事です。
最近といっても、1年前ですね。
[記事] 悪魔的存在と対峙したこの10年。これからのここ、そしてここじゃない場所
投稿日:2021年2月13日
https://indeep.jp/dancing-in-the-satan-street/
このタイトルにある「ここ、そしてここじゃない場所」というフレーズは、
よくわからないですが、ブログには由来を書いていないですね。
これは日本のバンドの歌のタイトルなんです。
・吉野大作&プロスティテュート『ここそして ここじゃない場所』1982年
https://youtu.be/sMikUkUrqyw
そういえば、この山本七平さんのことを初めてブログに書きましたのは、
今から10年前の「殺され続ける詩人シナ」 (2012/09/12)というものでした。
https://bit.ly/3IjiVPt
この10年前の記事を久しぶりに見てみますと、
山本七平さんの『ある異常体験者の偏見』から引用した後、
私はこのように書いていました。
(2012年9月のブログ記事より)
> 上にあるシェークスピアの芝居の中にある
> 「どうだっていい、同じ〇〇だ、やっちまえ」という台詞を
> この10年くらいだけでも何度見てきたことか、と思います。
>
> その人がいいとか悪いとかではなく、「どうだっていい、同じ〇〇だ」という事例。
>
> 同時多発テロのあとの西欧社会のイスラム教徒、
> 領土問題などで利用される際の反〇〇運動(日本、中国、韓国など)、
> 原発問題のあとの電力会社の社員に対して・・・ etc 。
>
> 世界中で無限に今も続く「どうだっていい、同じ〇〇だ」 のループ。
https://bit.ly/3IjiVPt
今は、「同じロシア人だ、やっちまえ」ですね。
こんなに何十年も繰り返されてきた扇動の連鎖ですが、
山本さんも書いていますけれど、最も大切なのは、
「これが扇動だと気づかれないこと」
です。
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