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週刊 Life is Beautiful 2022年3月29日号:水素自動車 vs. 電気自動車

週刊 Life is beautiful
今週のざっくばらん 水素自動車 vs. 電気自動車 私たちの目には、毎日のように新しいニュースが飛び込んで来ます。それぞれの情報にも意味がありますが、時々振り返って、「大きな流れ」を読むことも重要です。今回は、今起こりつつある「EVシフト」について、「水素自動車 vs. 電気自動車」という観点から、それぞれの主役でもあるトヨタ自動車とTeslaを中心に時系列で復習してみたいと思います。 GM EV1 (1996年〜1999年) 電気自動車を作る試みは、ガソリン車と同じぐらいの歴史がありますが、歴史上、大きな意味を持つのは、1996年にGM(General Motors)から発売されたEV1です。 EV1は、89 km (55 マイル)の航続距離を持つ電気自動車として $34,000 で発売されました。航続距離も短く、パワーも小さかったため、トータルで1,227台がしか販売されませんでしたが、一部のオーナーは熱狂的なファンになりました。GMは3年後の1999年に、「ビジネスにならない」ことを理由に生産を中止しました。EV1をめぐる物語は、ドキュメンタリー映画として公開されているので、是非ともご覧ください(Who Killed the Electric Car)。 当時は電池の値段も高く、航続距離の長い電気自動車を作れなかったというのが、EV1の失敗の一番の理由ですが、GM自身も当初予定していた年産10万台の工場の建設には及び腰で、「大量生産によるコストダウン」には繋がらなかったのです。 Tesla (2003年〜現在) Tesla は、今では Elon Musk の会社として知られていますが、Elon Musk は当初の創業メンバーには加わっていません。Tesla (当時は Tesla Motors)を創業したのは、Martin Eberhard と Marc Tarpenning で、最初は資金力も乏しい、しがない「EVベンチャー」でした。EV1 の失敗を見た投資家たちが Tesla のサポートを拒む中、彼らは Elon Musk に直々に資金の提供を願い出ました。 当時、Elon Musk は、Paypal の売却で得たお金を使って SpaceX を立ち上げる準備をしていましたが、Tesla の創業メンバーの熱意に打たれ、$6.5 million を提供して会長になり(2004年)、その後 Tesla のCEOになったのです(2006年)。 Elon Musk は、CEOになった2006年に “Master Plan” と名付けられた企業戦略を立てましたが、そこには、まずは高級車でビジネスを立ち上げ、そこから生まれるキャッシュフローで大衆車を大量生産する、と宣言しました。Build sports carUse that money to build an affordable carUse that money to build an even more affordable carWhile doing above, also provide zero emission electric power generation options この Master Plan に基づき、Tesla はまずは超高級スポーツカーの RoadStar を発売し(2008年)、次に高級セダンの Model S(2012年)、高級SUVのModel X(2015年)を発売し、それが後の(大衆車である) Model 3 と model Y の発売に繋がりました。 そのプロセスで、Tesla は何度も倒産しそうになり、その度に Elon Musk は私財を注ぎ込んで救済したり、Steve Jobs ばりの現実歪曲空間を作って、資金集めをしました。 Elon Muskは、この激務を、同じく何度も倒産しそうになった SpaceX のCEOとの兼務していますが、彼の超人的な活躍が無ければ、Tesla はとっくの昔に資金切れで倒産しています。 トヨタ RAV4 EV(2012年〜2014年)

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