ウクライナ戦争でリスクが変質
「同時多発のリスク源」
このところ、市場の「リスク・オン」、「リスク・オフ」の形が変わってきました。米国金利が大きく上昇しても米国株が下がりません。原油価格が高騰しても米国金利の上昇は限定的で、ドル資産は売られていません。ウクライナ危機でリスク・オフとなっても、安全通貨としての円は買われず、むしろドルやスイスフランが避難通貨になっています。
これまでとは異なるリスクへの反応に見えますが、この背景にはリスクの発生源が同時多発になっている点があります。最大のリスク源はもちろんウクライナ戦争であり、これに対応するロシアへの経済金融制裁があります。ロシアの天然ガス、石油の供給減少が懸念され、価格が高騰、さらにロシア、ウクライナの小麦、トウモロコシ、ニッケルなどの供給懸念で価格が高騰しています。
また欧米はロシアの銀行の約7割を国際決済システムSWIFTから排除することを決めました。これはロシアがドル資金を手に入れにくくなるばかりか、金融機関同士での決済が滞って、資金不足、とりわけドル不足が強まりかねません。ロシアはこのためルーブル決済を求めていますが、大きく価値の下落したルーブルを受け入れがたく、市場でルーブルを手に入れることも困難で、貿易取引も制約されます。
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