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/ 2022年4月1日発行 /Vol.509(2/2)
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「人生に座右の銘はいらない」
読者からの相談や質問に松尾スズキが独自の視点でお答えします!
Q.市川海老蔵さんと小林麻耶さんがバトっています。正直、興味はないのですが、海老蔵さんの女遊びに関する報道で「梨園の人間だから許される」的なものがありました。たしかに歌舞伎の方たちの不倫、隠し子などの話はこれまでにもよく聞きましたが、芸能界において、歌舞伎ってどれくらい特別なんでしょうか? ほかの伝統芸能ともまた違うのでしょうか?(31歳、女性)
A.歌舞伎っていうのは、昔は売春の温床となったり、まあまあ風紀を乱してきたりした歴史もあるし、武家や貴族のメディテーションの調整の意味合いも考えられる能とかと違って、色っぽさだのケレンだのを売っているのに何を今さらという人もいるでしょうけど、今のコンプラの現実を見ると、歌舞伎役者だろうが落語家だろうが、そろそろ無理があるかな、と。ようは、まじめにやっている歌舞伎役者だって落語家だって、普通にいい芸を見せているぞという、あっけらかんとした例がある限り、古典芸能だから飲む打つ買うもしゃあないやろ、という理屈は成り立たなくなっているんじゃあないでしょうか。中村芝翫さんあたりで、もう限界というムードを感じます。ま、しかし、海老蔵は独身なんだから、べつに何人の女と付き合おうと勝手にしてくれ、という思いですが。SNSで女を漁ってるっていうのは、なんとも色っぽくないですけど。
Q.管理職になり現場を離れて5年目になりますが、正直、ツマらないです……。入社以来、15年間、営業マンだったので刺激もドキドキもありません。同世代の管理職に相談すると、部下の成果や会社の業績などに意識を向ければいいと言うのですが、やっぱり他人事にしか感じられず、かといってなんの特技もないので今さら転職もできず。松尾さんは常に新鮮な現場で飽きることはなさそうですが、こういう状況で働き続けるためには、どうすれば良いと思われますか?(47歳、男性、会社員)
A.わたしだって、そろそろ現役感が薄れてきているな、というのは感じます。新作を毎年打つ体力も持ち合わせませんし、シアターコクーン芸術監督という立場で、裏方の仕事をしこしこ、みなさんの見えないところでやったりしております。しかし正直、それをつまらんとも思っていません。大人計画を作り上げるときに似た、おもしろさも、そこにはあります。おのれの加齢との戦い、それをおもしろいと感じています。敗北感こみです。
うちのスタッフは、どう考えても緩やかなカーブを描いて仕事ができなくなっていく、わたしをめぐる大人計画の経済状況をどう考えているのか興味があります。まあ、わたしより宮藤、阿部、星野は10年以上がんばれるでしょう。でも、10年経てば宮藤も還暦。還暦過ぎて、ばりばりやっているパフォーマーは、なかなか少ないという現実の壁はあります。なんてことを、ああだこうだ思案するのです。
仕事ばかりが人生ではないというのも、最近よく考えます。自分のお小遣いでいろんなサプリを買ったり、アンチエイジングの注射を打ったりしています。おいしく酒を飲み続けていられる、という健康に結びつくサプリです。いかに長く楽しく酒を飲み続けられるか、というのを人生の第2目標としております。
Q.めちゃくちゃゴシップ好きな同僚がいるのですが、あれって、なにが楽しいんでしょうか? 百歩譲って結婚とか恋愛とか楽しい話ならまだしも、離婚とか不倫とか浮気とか、犯罪まがいの話とか、ネガティブな話に興味を持つ理由がわかりません。だって、暗い話って、こっちまで暗い気分になりませんか? 松尾さんはゴシップ、お好きですか?(44歳、女性、派遣)
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