■ビジネスは最初の分け方が9割
課題解決が重要だ。そのためには「現状把握」「解釈」「介入」「感
情の保留」のステップに従うことだ。このステップさえ意識すれば、
誰でも容易に課題解決できるようになる。
中でも現状把握が重要だ。解決したいテーマを上手に分解して、本当
の課題を特定することだ。これが課題設定だ、これさえ正しくできれ
ば、課題は驚くほど容易に解決するはずだ。
逆に「課題設定」を間違うと、本当の課題が解決されない。その上、
無駄なことに時間を使ってしまう。そうなると損失は大きくなる。だ
からこそ、現状把握が重要なのだ。
心配は無用だ。「上手に分解する方法」は、たった2つしかないから
だ。その2つを習得するだけで、課題は誰にでも、簡単に特定できる
ようになるはずだ。
★
まず「プロセスで分解する」ことだ。すなわち「時間軸」で分けるの
だ。次いで「2つの軸のマトリックスで分解する」ことだ。この2つ
を使えるようになれば、課題は簡単に特定できるようになる。
物事をとらえる時は「構造」と「水準」という2軸で考える。「構
造」とは「上手に分解」した結果だ。上記の「現状把握」「解釈」
「介入」「感情を保留」は4つのステップからなる構造だ。
そして、もう1つの観点が水準だ。これはレベルのことだ。「テーマ
を分解する』というと「誰でも、いつもやっている」と思いがちだ。
たしかに分解だけなら、誰でもある程度はやっている。
だが、その「分解」の「レベル(水準)」には、雲泥の差がある。
つまり「現状把握」「解釈」「介入」「感情を保留」それぞれに関し
て水準を高める必要があるのだ。
★
たとえば、売り上げが低迷している会社が、利益を拡大するには、売
上の拡大することが課題だ。そこで役員が、営業担当にはっぱをかけ
て拡販営業をするとする。
この役員は、利益を売上と費用の2つに分解し、費用の削減を行った
上で、利益拡大のために売上拡大が必須だと考えている。だが「どう
すれば売上拡大できるか」が丸投げだ。これでは部下は動けない。
売上拡大という課題を明確にしただけでは現場は動けない。現場から
すれば、売上拡大というテーマはいつも考えていることなのだ。それ
が簡単にできないから困っているのだ。
それなのに、売上拡大だけ命じて、それ以外は無策では部下は動けな
い。バッターに「ヒットを打て」とひたすら命じている監督のような
ものだ。これでは上手に分解していることにはならない。
なぜなら、これでは具体的な打ち手が何もないからだ。大事なことは、
問題のサイズを、当事者が解決策をイメージできるくらい小さくする
ことだ。「現場が持てる荷物の大きさにする」のだ。
たとえば「売上=既存顧客数×既存顧客あたり売上+新規顧客数×新
規顧客あたり売上」は「売上」を「既存顧客数」「既存顧客あたり売
上」「新規顧客数」「新規顧客あたり売上」の4要素に分解している。
これらのデータを見た時、既存顧客あたりの売上が減っていれば、既
存顧客の顧客あたり売上を上げる方法を考えるように依頼すれば、顧
客イメージが湧く。良い案を見つけることができるかもしれない。
★
「現場が持てる荷物の大きさにする」際に、注意すべき点がある。そ
れは「CTスキャン方式」にしたり「闇夜の鉄砲」にしたりしないこ
とだ。
「闇夜の鉄砲」とは、事実をまったく確認せずに勘だけで方針を決め
ることだ。たとえば「新規顧客を拡販するんだ」と現場に命じるよう
なケースだ。大半の場合うまくいかない。仮にうまくいっても偶然だ。
逆に、時間をかけて丁寧にするのが「CTスキャン方式」だ。全体像
を細かくひたすら分解することだ。一見よさそうだが、時間がかかる。
場合によっては、かえって重要な場所がわかりにくくなる。
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