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映画版「鬼滅の刃」歴代興行収入1位の影で危惧される日本映画界の未来  ~8~

ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 映画版「鬼滅の刃」歴代興行収入1位の影で危惧される日本映画界の未来  ~8~ 世界の映画産業事情(2022年4月4日号) ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------    世界の映画産業と比較すると、日本の映画産業の弱点が見えてくる。比較対象国として、北米(米国・カナダ)、韓国、フランス、ドイツ、英国、オーストラリア、韓国を挙げる。  2017年の映画観客数を、多い順番に比べると、北米、韓国、フランス、日本、英国、ドイツ、オーストラリアであった。  ところが、観客数を人口で割った国民1人当たりの映画館における年間の鑑賞本数は、韓国の4.3回が最も多く、次いで北米とオーストラリアが3.4回、フランス(3.2回)、英国(2.6回)、ドイツ(1.5回)と続き、日本は最下位の1.4回であった。  とくに日本は東日本大震災後、2011年にはこの数字が1.1回まで落ち込んだものの、他国と比べ、低い水準となっている。  ただ、2005年以降の数字を見ると、特に韓国市場の好調さは目立つ。2008年では、1億5083万人であった数字が、2017年には2億1987万人と、30%以上増加した。他方、日本を含め、他の国では、このような大幅に増えた動きは見えなかった。  一方で、これらの国の興行収入を見てみると、北米、日本、英国、韓国、フランス、ドイツ、オーストラリアとなり、観客数では下位に低迷する日本が興行収入ではアメリカ、比較対象となっていない中国に次ぐ世界第3位となった。  要因としては、日本の映画チケットの料金が平均1310円と、他国と比べ高いことが理由として挙げられる。  ところが、チケット料金の平均が1264円と日本とあまり変わらないオーストラリアの年間鑑賞回数は3.4回と高い数値を維持しており、日本社会における「映画館での映画体験」という文化が明らかに衰退しているといえるだろう。  各国における「スクリーン数」を比較しても、日本が他国と比べ少ないことが分かる。スクリーンの数は、米国が他国を圧倒、日本の10倍以上の40,393スクリーンとなっている。  ただ、どの国も2008年以降、スクリーン数は増加、とくに韓国は40%増を記録、英国も18%増、フランスとオーストラリアも10%増となった。  しかし、人口をスクリーンの数で割った「1スクリーン当たりの人口」で見ると、日本におけるスクリーンの数は他国と比べ、少ない。1スクリーン当たりの人口は、その数値が低いほど、身近にスクリーンが存在していることを意味する。  この数値を見ると、日本は35,894人に1スクリーンであった。最もスクリーンの数が多いのは米国で、8046人に1スクリーン、フランスは10.959人に1スクリーンであった。日本には、米国の4分の1、フランスの3分の1、韓国の半分しか映画スクリーンが存在しない。 これまでの記事→

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  • 日々流れるニュースを、様々な視点から分かりやすく解説するニュースサイト「ジャーナリスト 伊東 森の新しい社会をデザインする The Middle News Journal」のニュースレター有料版です。 いまだ私たちに伝えられてこないマスコミの情報は、残念ながら存在します。 「そもそも?」「Why?」を大事に、マスコミの情報を再編集し、様々な視点や確度から執筆していきます。 その「水先案内人」として、私の仕事が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
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