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喘息治療がうまくいっていない人へ

ドクター畑地の診察室
ドクター畑地の診察室135.2022.4.10 現役呼吸器内科、総合内科専門医 畑地治です。 世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います!おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者(肺癌、喘息、COPD、肺炎など)を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説&ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信! https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 2022年4月より松阪市民病院院長 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php *********************************** 喘息治療がうまくいっていない人へ 何度も言いますが、私が子供の頃、何度も喘息で入退院を繰り返していました。最後に大きい発作が起こったのが小学校5年の時です。その後は大きい発作はありませんでしたが、中学生になっても林間学校や修学旅行などと環境が変わると、決まって夜から明け方にかけて軽い喘息発作が起こったものです。喘息の発作が全く起こらなくなったのが高校2年の時でした。 この喘息ですが、現在“吸入薬”が非常に進歩しており、ほとんどの患者さんは吸入薬の使用により改善します。吸入ステロイド入りの吸入薬を使用して治療するわけですが、病院で吸入ステロイドの吸入薬を処方されても喘息発作がしばしば起こる患者さんは約25%いると言われています。しかしもっと分析すると、多くの患者さんはうまく吸入薬を使えこなせてなく、処方された吸入薬を上手に使用しても喘息のコントロールができない患者さんは(真に難治性喘息といえます。) 4%程度であると言われています。 さてこの4%の喘息患者さんですが、吸入薬だけではなかなかコントロールできないのが現状です。そしてこの4%の患者さんの6割の人は、鼻茸を伴う副鼻腔炎を合併していると言われています。 従来だとこの喘息の患者さんたちには、吸入ステロイドのみならず内服の経口ステロイドを投与することが多かったのですが、最近では特殊な方法で吸入ステロイドを吸入すると、ある程度は鼻茸を伴う副鼻腔炎や喘息がコントロールできると言われています。 その特殊な吸入方法ですが、普通は口から吸ったステロイドは口からはき出しますが、はくときに口を閉じ、鼻から出すように指導します。そうすると喘息のみならずこの副鼻腔炎にも効果があると言われています。ただし、どの種類の吸入ステロイドでも“経鼻呼出(口から吸って鼻からはくこと)”が効果的というわけではありません。この方法が有効な吸入ステロイドは“キュバール”と“パルミコート”の2種類のです。パルミコートは気管支拡張剤の吸入薬と一緒になり“シムビコート”という吸入薬として使用されることも多く、とても有効です。それ以外に“レルベア”という吸入薬も強く吸入し、あまり息をとめずに鼻から出せば有効です。 この経鼻呼出をおこなっても副鼻腔炎が改善しない難治性喘息の患者さんには、生物学的製剤と呼ばれる注射薬が非常に有効であることが知られており、内服の経口ステロイドを使う前にぜひ試してみることをお勧めします。 しかし、この生物学的製剤は価格が非常に高いのがネックです。少し前まで東京都では喘息治療が無料で行うことができたため、生物学的製剤の使用率は東京都が多いのが現状です。

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