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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 小米物語その38 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 金山軟件(キングソフト)の雷軍(レイ・ジュン)は、新発売する辞書、翻訳ソフト「金山詞覇2000」「金山快訳2000」のセットセール価格を28元に定めた。定価は168元なので思い切った価格設定だ。 この思い切った価格設定は、違法コピー対策だった。誰でもできれば正規品を使いたいとは思っている。しかし、違法コピーは数元とあまりに安いためにそちらを買ってしまう。しかし、期間限定とは言え28元という価格であれば、違法コピーではなく正規品を買ってくれるのではないか。雷軍はそう読んだ。 そして、かつてない低価格で一気に普及をさせ、翻訳ソフトのスタンダードは「金山詞覇」というイメージを醸成したい。そうすれば、セール期間が終わっても定価で買ってくれる。 雷軍はソフトウェア流通のキー経営者8人を招いて、お茶会を開催した。その席で、金山詞覇のセットを28元で販売するつもりだということを業界向けに初めて明かした。8人は驚いて、大きな商機に目を輝かせた。これは売れまくる。そう踏んだ小売流通の経営者たちは、その場で大量注文を入れる人もいた。 雷軍はこれだけでは安心することができず、営業マンを中国各地に派遣をして、地域の流通や小売店の経営者を招いたお茶会を開催させ、28元のセール価格を伝えさせた。中国各地から2万セット、3万セットというかつてない規模の注文が次々と入ってくる。

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