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/ 2022年4月15日発行 /Vol.511(2/2)
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「人生に座右の銘はいらない」
読者からの相談や質問に松尾スズキが独自の視点でお答えします!
Q.最近、メルマガに松尾さんの絵が出てこないのですが、やっぱりギックリ腰のせいでしょうか? あまり治りもよくないようですし、どうぞお大事になさってください。ところで、作品もだいぶたまっている気がするのですが、作品展とか作品集とか、なにかまとめて発表する予定はありますか? もし買うことができたら最高ですが、高いんでしょうね……。(44歳、女性)
A.いやー、まだまだ、10点にも満たないので作品展は遠い話です。が、園子温が『園子温という生きもの』というドキュメンタリーの中で描いている絵を見たら、少しだけ勇気が出てきたので、いつかお披露目できたらと思います。今、絵を描いていないのは、はい、完全に腰痛のせいですが、一度勢いが削がれると、なかなか手を付けにくくなるものです。なにせ、ひとつの絵を描くのに1週間は余裕でかかってしまうもので。でも、個展というのは、大学で美術を学んでいた人間としては甘い夢ですねえ。
Q.取引先の男性に好意を持たれているようなのですが、正直、男性としては興味ありません。とはいえ仕事相手なので、あまり邪険にもできず、告白されたわけでもないので、こちらから何かを言うわけにもいかず。一度、食事にも行ったのですが、そのときは「打合せ」と言われたので断れませんでした(たしかに少しだけ仕事の話はしました)。その人は、ちょっと変わっているというか、少しキレやすいキャラなので、あまり刺激したくない気持ちもあります。こういうとき、社会人としてどう対応するのが正解でしょうか?(27歳、女性、会社員)
A.とにかく、次に会ったときに、その人のことだとわからないように、キレられてびくついたエピソードとか、自分はトラウマを抱えていてキレられると泡を吹く、とか、さんざ、キレる人が怖い、怖くて死にたくなる、みたいな話をしておいて、で、あえてキレられるようなことをしてしまう。というのは、どうでしょう。笑った拍子に、飲んでいたお茶を相手のスーツにぶちまけるとか。最低な差別的なジョークを言い続けるとか。よくわからないけど、興奮するとウーマンラッシュアワーの村本みたいな口調になるとか。相手に悪気がない感じで、どんどん女を感じさせないドジを踏みまくることをおすすめします。それでキレられたら、もう食事に行かない理由がはっきりできるんじゃないでしょうか。
Q.『命、ギガ長ス』最高でした! 恐縮ながら松尾さんの初演を拝見できなかったのですが、宮藤さんはもちろん、安藤さんもものすごく自然体で素晴らしかったです。そんな安藤さんは2回目になりますが、松尾さんから見て、1回目との違いや、演出で変えたことなどあれば教えていただきたいです。(41歳、女性)
A.いや実は、安藤さんと宮藤には自由度の高い演出をしているのです。つまり、とくに変えようという意思はなく、変わるところは勝手に変わるだろうし、変わらないところは変えないほうがよいところなのだろう、と。今回、あえてノープランで稽古に臨み、俳優たちの身体性を見ながら、ギガ組と長ス組の色分けをしていこうと思っていたのですが、どうも、ギガ組には自由度高く、長ス組は、かっちり決め打ちで、という流れにしたほうがよさそうだな、と、理屈ではなく、長年演出をしてきた勘に、たよってみたわけです。そして、それはかなり成功したんじゃないかと思っています。なにしろ、演出する人間が、たった4人ということで、じゅうぶんに手を尽くせたということです。また、誰か別の人でもやってみたいと、もうすでに思っています。
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