2022年 第 15号
【長尾和宏の「痛くない死に方」】
長尾和宏です。終息の見えない、戦争報道に息苦しい日々です。
ニュースキャスターは、ウクライナの現地映像を伝えるとき、必ず
こんなふうに言います。
「この後、死体の映像が流れます」
僕は、あのアナウンスが大嫌いだ。今は、テレビ局もいろいろコンプ
ライアンスがあって、言わなければならないのだろう。
そして、「こちらが食事中に遺体の映像を流すなんてどういうことだ!」
とクレームを入れる視聴者がきっと、少なからずいるのだろうね。
その死体の映像は、つい数日前まで、この世界で懸命に生きてきた人だ。
まさか自分が戦争に巻き込まれるとは、3ヵ月前までよもや考えていな
かった人たちであろう。食事中であれば、一旦箸を置いて、テレビを見
ているこちら側が、敬意をもって、祈りをささげるべき立場。
「死体を見てしまった!どうしてくれる!」と、まるで自分が被害者のよう
に振る舞うのは、どうかと思う。「私、繊細さんだから」とか言っている場合
ではない。死体はグロイ異物? あなたも僕も、いずれ死体になるんだ。
東京の恵比寿駅の看板で、ロシア語の看板が不愉快だから撤去しろと
いうクレームがあって、恵比寿駅の駅員は、ロシア語の看板を目隠しした。
これも僕には意味がわからない。日本在住のロシア人が困るではないか。
プーチンの狂気とはまったく関係のない在日ロシア人を、なぜ困らす
権利があるのか、正当な理由を言える人はいるのかい?
滋賀県のある温泉旅館では、ホームページに「「ロシア人とベラルーシ人
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