COVID-19感染者増加

ドクター畑地の診察室136.2022.4.17. 現役呼吸器内科、総合内科専門医 畑地治です。 世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います！おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者（肺癌、喘息、COPD、肺炎など）を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説＆ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信！ https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身　自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け！radioを聴いてらんらんらん（lung lung lung）」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ COVID-19感染者増加 春休みが終わって学校が再開しました。当初より予想はしていましたが、小学生、保育園児、幼稚園児などを中心にCOVID-19感染者が増加し、松阪市においても連日100人近くの感染者が報告されています。 人口15万人ほどの松阪市で100人なので、毎日1500人に約1人の新規感染者が出ていることになります。今まで史上最高のペースですが、しかしそれほど切迫感はありません。感染初期の松阪市なら、1人の感染者が出たら大騒ぎとなりましたが、今は慣れたものです。入院患者さんもそれほど増加しておらず、現在入院患者さんは10人もいない状況です。 多くのCOVID-19感染者は軽症であり、重症化する人は“超高齢者”や“かなりの不摂生な人”などと限られており、無症状感染者も大勢いる状況です。 COVID-19はもともと風邪であったわけです。風邪は子供を中心に流行し拡大します。しかし、放っておけば治癒します。伝播する力は強いのですが、重症化する事は滅多にない本来の“風邪引き”に近づいてきたような印象を受けます。 あまり重症化しない理由は、有効な薬が開発されつつあること、予防接種が進んだことなども挙げられると思いますが、やはりCOVID-19事態が弱毒化していることは事実なのでしょう。これはウイルスの進化から考えると正常の進化かと思います。 これだけ多くの感染者がいると、しばしば我々の病院でも職員が濃厚接触者になったり、感染したりするような事態が頻発しています。以前だったら病院を1部閉鎖したりしていましたが、今はキリがないような気がしてなりません。“もう特別な対策はいらない”などと言い出さないかな、と思っているわけですが、なかなか言い出す人がいないのが今の状況じゃないでしょうか。 欧米などではマスクを外してコンサートなどが行われ始めています。日本は頭が固い人が多く、まだまだ先の話ですが、その時その時に応じて素早く政策を変更していくことが肝要だと思います。以前のデルタ株のようなときは、徹底的に対策を行い、現在主流となっているような株の場合は、素早く制限を撤廃していくような政策が必要だと思います。見極めるのはなかなか難しいですが、ウイルスの進化自体は弱毒化するように進化します。まだ油断ならないとは言え、もうそろそろ規制を緩めてもいい頃ではないのかと私は考えています。 ただ、そうは言っても重症化する人は稀にはいます。オミクロン株になって、ワクチン接種していても感染する人がいる事は事実ですが、やはり摂取してない人が感染する確率の方がかなり高く、ワクチン接種は粛々と進めていかなければいけないと思っています。 ワクチン接種は行うことを前提としても、もう普通の生活に戻してもいいのではないか、病院の対応もインフルエンザ並みの対応で良いのではないのか、などと考えてしまう今日この頃です。