■「いっぱいいっぱい」からの卒業
現代人の頭の中はノイズでいっぱいだ。誰もが日常生活や仕事で頭の
中が「いっぱいいっぱい」になったことはあるはずだ。まわりは多く
のノイズが取り巻いている。当然だ。
「ノイズ」とは、意識を振り向けたいこととは無関係なことだ。雑
音、雑念、雑作業などと呼ばれるものだ。時代の進化とともに、日常
生活は、頭の中がいっぱいっぱいになるほど忙しくなったのだ。
放っておけば、頭の中にはよはくがなくなる。日々ノイズに押しつぶ
されそうな勢いだ。かといって、家庭のことや仕事も手抜きはできな
いはずだ。
先行きはますます不透明だ。ノイズは増えることはあっても減ること
はない。このジレンマに向き合わねばならない。そのためには、頭の
中のノイズを減らし、スペースを確保するべきだ。
★
余裕を作るのは簡単だ。考えごとや情報などで頭の中がキャパオーバ
ーする前にノイズを減らしておくことだ。そうすれば「思考によは
く」ができるはずだ。
よはくができれば、自分と向き合う余裕が生まれる。自分の気持ちや、
次に集中すべきポイントもわかるようになる。そうなれば、ノイズに
邪魔をされず、自分らしさが取り戻せるはずだ。
余裕ができれば、ノイズで生じた不安や焦り、怒りなどのストレスも
鎮まり、生活や仕事はよい方向に向かうはずだ。要らないアプリを削
除すれば、スマホもサクサク動く。それと同じだ。
頭の中も、キャパオーバーになる前によはくを作ればいいのだ。そう
すれば、大切なことだけに集中できる。その結果、ストレスに押しつ
ぶされることなく行動できるはずだ。
★
思考によはくを作るには、生きる姿勢・働く姿勢を転換するべきだ。
簡単なことではない。今までの価値観やモノの見方を大きく変える必
要があるからだ。
色々と頑張っても成果が出ない、忙しくて自分と向き合う時間が取れ
ない、原因はわからないがストレスを感じるといった状態なら、いち
ど立ち止まって、自分を変えるべきだ。
反射神経的に頭の中に湧き出るのが「もっと」という言葉だ。この言
葉は捨てるべきだ。「もっと情報があれば」「もっと選択肢があれ
ば」「もっと頑張らねば」と衝動に日々突き動かされがちだ。
昔に比べて現代は、情報や選択肢が格段に増え、仕事でもやるべきこ
とが同時多発的に発生する。そんな今、意識しなくても自動的に
「“もっと”の圧力」が頭の中を取り巻いている。
「もっと」の誘惑と圧力をかわし、本当に大切な、少数のことに集中
するべきだ。ポイントは「より少なく、よりよく生きる」だ。「Do
More」から「Do Less」へ「量」から「質」に転換すべきなのだ。
★
余裕のない人と余裕のある人には「心・技・体」が違う。心(考え
方・感情)について、余裕のない人は「より多く、よりよく」だ。余
裕のある人は「より少なく、よりよく」だ。
技(スキル・ノウハウ)も同じだ、「余裕のない人」は「知識と情報
を増やそう」とする。それに対し「余裕のある人」は「知識や情報は
最小限にしよう」とするものだ。
体(行動・体制)についても同じだ。「余裕のない人」は「やみくも
に頑張る」反対に「余裕のある人」は「集中することを見極めること
に専念」する。
努力家で、頭がよく、頑張っているのに成果がでない人がいる。そう
いう人は、やるべきことで頭がいっぱいでどれも中途半場なのだ。す
べてを手に入れようと、すべてに全力を尽す思考が問題なのだ。
限られたリソースで、最大限のパフォーマンスを出すべきだ。そのた
めには「自分が集中すべきこと、大切なことは何か」を考える余裕が
必要だ。これこそ「頭によはくを作る思考法」なのだ。
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