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第163号 アベ政治の負の遺産/たかがカエルされどカエル/お玉杓子/きっこ危機一髪!(後編)

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  • 2022/04/20
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「アベ政治の負の遺産」 福島第1原発に溜まり続ける自称「処理水」の処分方法を巡り、菅義偉岸首相(当時)が海洋放出を決定してから1年となった4月13日、東京は永田町の衆院議員会館前を始め、全国8都府県の10カ所以上で「海洋放出の撤回を訴える抗議行動」が行なわれました。しかし、その2日後の15日、原子力規制委員会は、東京電力が提出した海洋放出の実施計画について「不十分な点や適切に評価されていない点はない」として、事実上の「了承」をしました。 このまま進めば、形だけのパブリックコメントを経て正式に「認可」され、福島県と地元自治体の了解が得られれば、6月には海洋放出のための設備工事が始まってしまいます。そして、来年の春から自称「処理水」の海洋放出が始まるのです。ザックリ説明すると、福島第1原発から沖合1キロまで海底トンネルを建設し、そこから海洋放出する計画で、総予算は約430億円、もちろん東電を利用している人たちの電気料金に上乗せされます。 しかし、これほど「反対」の声が高まっているのに、このまま計画通りに進むのでしょうか?海洋放出の決定から1年となった4月13日、福島民報社は福島県内59市町村長を対象に「海洋放出について、この1年で政府との合意形成が進んだか?」というアンケート調査を実施しました。その結果「かなり進んだ」はゼロ、「少しは進んだ」が5人(8%)で、83%に当たる49人の首長が「あまり進んでいない」と回答したのです。 「地元自治体の了解」が海洋放出の条件ですから、政府にとって、これは大きなハードルでしょう。また、4月5日には、全漁連(全国漁業協同組合連合会)の岸宏会長が岸田文雄首相と面会して「いささかも反対の立場に変わりはない」と全国の漁業関係者の声を伝えています。地元の漁業関係者も風評被害を懸念して海洋放出に反対していますが、昨年も福島沖で試験操業されたクロソイから基準値の5倍の100グラム当たり500ベクレルの放射性セシウムが検出されたのですから、すでに風評被害ではなく実害が出ているのです。 そもそも、この「風評被害」という表現は、海洋放出する自称「処理水」が、東電や政府が言うように、本当に環境へ何の影響も及ぼさない安全な水だった場合の表現です。実際には何の影響も出ていないのに、悪い噂が広まって福島の魚が売れなくなる、これが風評被害です。しかし実際は、海洋放出する前から福島沖で獲れた魚から基準値を超える放射性セシウムが検出されているのです。その上、900兆ベクレルという天文学的なトリチウムが残留した自称「処理水」を130万トン以上も海洋放出すれば、風評被害ではなく実害が出ることは自明の理でしょう。 東電は「安全なレベルまで海水で希釈してから海洋放出するので問題ない」などと説明していますが、これは完全にペテンです。どれほど海水で希釈しようとも、900兆ベクレルというトリチウムの総量は変わりません。たとえば、人間が1グラム摂取すると死んでしまう毒薬があったとします。これを水で薄めて飲めば、死ななくなると思いますか?100倍に薄めようとも、1000倍に薄めようとも、薄めた水をすべて飲めば、その人は死んでしまうのです。

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