「岸田政権のロシア外交をどう考えるか?」
鈴木俊一財務大臣は4月20日に行われた、G20の財務大臣・中央銀行
総裁会議の終了後に記者会見しました。そこで、会議の中でロシアの代表団
による発言の際、「自分自身は退席しないで」、ロシアのウクライナ侵攻を
「最も強い言葉で非難した」と明らかにしたのだそうです。
ちなみに、米英など西側諸国の一部は、ロシア側が発言をする場面では会
議から退席することで抗議の姿勢を示していたわけで、鈴木大臣は表面的に
は「ロシアとの喧嘩をスルー」した格好になりました。
また、日本維新の会の鈴木宗男参院議員はこれと前後して4月17日に、
札幌市で講演し、ロシアが北方領土問題を含む平和条約締結交渉の中断など
を表明したことについて、「現状では」という断りが付いていると指摘し、
「まだ(日本に)配慮してくれている面がある」との認識を示したそうです。
その上で「(ロシア側のメッセージを)裏表を見ずに斜め読みしていると、
どこかでツケが回ってくる」という不思議なコメントを述べています。これ
に対しては、宗男議員=親ロシアという「常識的な」」見方から、同議員は
「制裁を見直せ」と言っているのだという解説がされています。
ちなみに、その鈴木宗男議員の発言ですが、ロシアが「平和条約交渉を中
断」と言っている中に「現状では」という「但し書き」があることに注目し
て、「これは完全に日本との関係を切るのではない」というメッセージが入
っているという解釈をしているわけです。
つまり「だから制裁をやめろ」というのではなく、「制裁をして、ロシア
を怒らせたのだから北方領土を諦める」というのは短絡であり、ロシアに負
けないように、もっと息の長い交渉をすべきだとしているわけです。また、
今はその時期ではないということも、宗男氏にしても理解しているのだと思
います。
一方の鈴木俊一大臣ですが、実は鈴木善幸総理の息子さんです。善幸氏と
いえば、1977年に「200カイリ」問題で大トラブルとなった、ロシア
(当時はソ連)との漁業交渉を非常に粘り強く担当したことで有名です。そ
の粘りが、最終的に善幸氏を総理にまで押し上げたと言ってもいいでしょう。
あまりに、ソ連との交渉で粘りを見せていたので、アメリカは、善幸氏を
それこそ宗男氏のように「ソ連寄りのフィクサー」と誤解していたという説
もあるくらいです。
さて、最初の鈴木大臣の言動ですが、実は、前後した宗男氏の発言と「連
動はしていないかもしれないが、動機は同じ」だということが指摘できます。
というのは、この4月の17日から20日というタイミングでは、オンラ
インで、日本の水産庁とロシアの「サケマス漁の交渉」が続いていたからで
す。そして、意外なことに、この交渉は「成立」したのでした。(続く)
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)