「プーチン手法の自民党政権」
ウクライナのニュース一色だったところに、知床で観光船の事故が起こり、今度は観光船の事故のニュース一色となった右へ倣えのメディアですが、あたしが何よりも驚いたのは、こうした大きなニュースの影に隠れるように、4月25日(月)にシレッと報じられた「東京電力 処理水の海洋放出に向け海底トンネル放水口の工事に着手」というニュースでした。
何故かと言うと、先週号のこのコーナーの「アベ政治の負の遺産」に書いたように、海洋放出計画の今後の手続きは、まず国民の声を聞くためのパブリックコメントを行ない、その次に原子力規制委員会による東京電力の海洋放出計画の最終認可が行なわれ、最後に福島県と地元自治体の了解が得られれば、これでようやく東電は海洋放出のための設備工事に着手できる、という流れだったからです。
それなのに、まだ原子力規制委員会による認可も受けていないのに、まだ福島県と地元自治体の了解も得ていないのに、もう工事を始めたというのです。福島県の地元紙の報道によると、東電は25日、海上に工事の範囲を示すためのブイを設置し、作業船を固定するためのアンカーを設置したそうです。そして、4月29日以降に海底の掘削工事に取り掛かり、8月上旬には自称「処理水」を放出するための海底トンネルが完成予定だというのです。
おいおいおいおいおーーーーい!!‥‥というわけで、これも先週号に書きましたが、今月半ばに福島民報社が福島県内59市町村長を対象に実施した「海洋放出について、この1年で政府との合意形成が進んだか?」というアンケート調査では、「かなり進んだ」はゼロ、「少しは進んだ」は5人、83%に当たる49人の首長が「あまり進んでいない」と回答しています。
1年かけてもこのアリサマなのに、岸田政権は一体どのように福島県と地元自治体の了解を得るつもりなのでしょうか?やはり最後は自民党政権のお家芸、札束で地元の人々の口を塞ぐつもりなのでしょうか?しかし、問題はそれだけではありません。1年前に海洋放出を決定した当時の首相、菅義偉も、現在の首相、岸田文雄も、口を揃えて「地元関係者の理解なしに、いかなる処分も行わない」と公言して来たのです。これって詐欺じゃないですか?
ま、現状を見る限り、東電が総予算430億円にも及ぶ巨大工事に着手したということは、パブリックコメントについては「結果は無視する」、原子力規制委員会による認可については「確実に認可される」、福島県と地元自治体の了解については「どんな手段を使っても了解させる」という3点が、政府と東電の間で決定事項となっているのでしょう。それに、仮に地元の了解が得られなかったとしても、自民党政権には「沖縄の民意を無視して辺野古の埋め立て工事を強行する」という必殺技があります。
それにしても、このあまりにも強引な「海洋放出ありき」のプーチン手法を目の当たりにしたあたしは、あの「加計学園問題」が脳内にデジャブってしまいました。もう忘れてしまった人もいるかもしれませんが、莫大な予算をプレゼントして大学の獣医学部を新設する国家戦略特区の事業で、大学の選定会議の議長をつとめる安倍晋三が「加計学園に決定した」と発表したのは、2017年1月20日でした。しかし、加計学園は、1カ月も前の前年12月下旬から、大学の建設工事に着手していたのです。
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