━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
佐々木俊尚の未来地図レポート 2022.5.2 Vol.702
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
http://www.pressa.jp/
【今週のコンテンツ】
特集
村上春樹さんの「壁と卵」論から考える「反権力」と「ハック」
〜〜ウクライナ政府は「壁」なのか「卵」なのか?
未来地図キュレーション
佐々木俊尚からひとこと
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■特集
村上春樹さんの「壁と卵」論から考える「反権力」と「ハック」
〜〜ウクライナ政府は「壁」なのか「卵」なのか?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メタバースの未来を予測するシリーズの第3回を掲載する予定だったのですが、ゴールデンウィークに入って古い資料を調べていたら、作家村上春樹さんの非常に鋭いことば「正論原理主義」を見つけてしまいました。今回は予定を変更し、村上春樹さんの言説について私が以前から考えている論考を書いてみようと思います。ゴールデンウィーク特別編ということで、特集はnoteで全文公開いたします。
村上さんは2009年にイスラエルの「エルサレム賞」を受賞し、これについてのインタビューが月刊文藝春秋の同年4月号に掲載されました。以下は引用です。
「ネット空間にはびこる正論原理主義を怖いと思うのは、ひとつには僕が1960年代の学生運動を知っているからです。おおまかに言えば、純粋な理屈を強い言葉で言い立て、大上段に論理を振りかざす人間が技術的に勝ち残り、自分の言葉で誠実に語ろうとする人々が、日和見主義と糾弾されて排除されていった。その結果学生運動はどんどん痩せ細って教条的になり、それが連合赤軍事件に行き着いてしまったのです。そういうのを二度と繰り返してはならない」
「ベトナム反戦運動や学生運動は、もともと強い理想主義から発したものでした。それが世界的な規模で広まり、盛り上がった。それはほんの短い間だけど、世界を大きく変えてしまいそうに見えました。でも僕らの世代の大多数は、運動に挫折したとたんわりにあっさり理想を捨て、生き方を転換して企業戦士として働き、日本経済の発展に力強く貢献した。そしてその結果、バブルをつくって弾けさせ、喪われた十年をもたらしました。そういう意味では日本の戦後史に対して、我々はいわば集合的な責任を負っているとも言える」
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)